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ザ・ホリーズ / THE HOLLIES    
   
   
     
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 注)1967年までにリリースされたものを対象としています。

STAY WITH THE HOLLIES
Parlophone PMC 1220(mono)
Parlophone PCS 3054(stereo)
Jan.1664

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆ 

side A
I'm Talking About You
Mr. Moonlight
You Better Move On
Lucille
Baby Don't Cry
Memphis
Stay
side B
Rockin' Robin
Whatcha Gonna Do 'Bout It
Do You Love Me
It's Only Make-Believe
What Kind Of Girl Are You
Little Lover
Candy Man
 
ホリーズのデビュー・アルバムはそれ以降に彼らが発表した作品群のクオリティに比べると数段落ちる。しかしこのアルバムは2位にランクされ、ベスト盤を除くオリジナル・アルバムの中ではもっともチャート的に成功したのだから、チャートの順位とアルバムのクオリティは比例しないという良い例だ。こんな書き方をするとまるでこのアルバムが出来の悪い物のように聞こえるかもしれないが、そういう訳ではない。それ以降のアルバムが素晴らしすぎるという話である。

60年代前半のアルバムはヒット・シングルを中心に、その時代のヒット曲やR&Bのカバーを収録して曲数を合わせるといった内容の物がほとんどだが、ホリーズのファースト・アルバムもこの雛形に沿った内容になっている。オリジナルは「リトル・ラヴァー」1曲のみ。他はすべてR&Bのカバーになっている。この作品以降もホリーズはアルバムにこの様なカバーを好んで収録していたが、そこでは「ホリーズのスタイル」という物が確立されていた。しかしこのアルバムでのカバーを聴いてみると、後に聴かれるホリーズ独特のスタイルという物が完成されていない。極端なたとえ方をすると、ここに収められている曲のほとんどがエヴァリー・ブラザーズ・スタイルで演奏されている。つまりこの時期のホリーズはエヴァリー・ブラザーズのスタイルを模倣するビート・グループの域を脱していないのである。

アルバムのライナー・ノートの中に「プロデューサーのロン・リチャーズはホリーズのワイルドでユニークなスタイルを損なわないために技術的な手助けはしなかった。」と言う文章があるが、セカンド・アルバム以降に登場するあの「ホリーズのスタイル」はロン・リチャーズの協力のもとで練り上げられていったという事がこれで分かる。つまりこのアルバムには磨かれて輝きを放つ前の原石のままのホリーズの姿が記録されているのである。そういう意味ではホリーズの野生のままの姿を知る事が出来る唯一の貴重な資料なのである。 全英チャート2位にランクされる大ヒットを記録している。
 
IN THE HOLLIES STYLE
Parlophone PMC 1235(mono)
Nov. 1964

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆☆

 
sideA
Nitty Gritty / Something's Got A Hold On Me
Don't You Know
To You My Love
It's In Her Kiss
Time For Love
What Kind Of Boy
sideB
Too Much Monkey Business
I Thought Of You Last Night
Please Don't Feel Too Bad
Come On Home
You'll Be Mine
Set Me Free
 

1964年11月に発売された彼らのセカンド・アルバムで、ボビー・エリオットが全曲に参加した初めてのアルバムでもある。前作はたった2回のセッションで録音されたものだが、今回は64年4月13日から8月25日まで、約4ヵ月の制作期間が費やされただけに、その密度の濃さでは前作を遥かに上回っていると言えよう。  同年9月にリリースされた"We're Through"以来、ナッシュ・クラーク・ヒックスの共作の際に用いられたペン・ネーム、"L.Ransford"だが(アラン・クラークによると、これはグレアム・ナッシュの祖父の名前ではないかと言うことだ。しかし、彼自身、本人に一度も会ったことがないそうである)、ここでは、全14曲中半数の7曲が"L.Ransford"名義の共作になっており、次作で65年9月発売のアルバム、"The Hollies"がカヴァー中心の選曲であったことからも、彼らの初期の最も重要な作品であることは間違いない。
 急激にオリジナル度を増していく彼らだが、アルバムの冒頭を飾るのは、おなじみ"Nitty Gritty〜Something's Got A Hold On Me"のカヴァー・メドレー。彼らのライヴ・バンドとしての魅力を見事にパッケージングした名演である。カヴァーと言えば、これまた定番といえるチャック・ベリーの"Too Much Monkey Business"も取り上げているが、軽やかさやコミカルな味は、正に彼らならではのものだ。また、当時最強と言われたアラン・クラークのヴォーカルに、ナッシュ、ヒックスのコーラスが絡む絶妙のハーモニーは、"Don't You Know"や"Time For Love"、"Please Don't Feel Too Bad"などのオリジナル曲で既に芽生えて始めているのが分かる。"Time For Love"のようなスローバラードの挟み方も絶妙で、アルバム全体に起伏をつけることに成功していると言えるだろう。
 トニー・ヒックスによると、彼はホリーズに加入するまで、ヴォーカルを担当したことがなく、バックヴォーカルを担当する際には相当なプレッシャーを感じたという。初めはコーラスもうまく付けられず、キーを外すこともしばしばあったようだ。だが、このアルバムを聞いていると、初期ビートグループの一つのセオリーである、シャドウズ以降のギター・コンボスタイル+エヴァリー・ブラザーズのハーモニーの導入から、更に一歩進んだアンサンブルを完成させているのが分かる。ビートルズを凌駕することの出来るハーモニーを持ったグループ、ホリーズは、ここで一つの完成を見たのである。これは、本作の最初のセッションである4月13日に録音されたシングル、"Here I Go again"を聞いても良く分かるだろう。
 このアルバムは当時モノラルのみで発売され、ステレオ・ヴァージョンは同アルバムの67年の再発盤、"The Vintage Hollies(World Records ST979)"までリリースされなかった。だがその音を聞く限り(演奏、ヴォーカルが左右に振り分けられたステレオ)、モノのみでリリースされたのは賢明だったと言えるだろう。なお現在ではEMI100周年に際して再発されたデジパック仕様のCDにて、その両方のヴァージョンを聞く事ができる

 

THE HOLLIES
Parlophone PMC 1261(mono)
Oct. 1965

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆☆

 
sideA
Very Last Day
You Must Believe Me
Put Yourself In My Place
Down The Line
That's My Desire
Too Many People
sideB
Lawdy Miss Clawdy
When I Come Home To You
Fortune Teller
So Lonely
I've Been Wrong
Mickey's Monkey 
 前作がチャート的に失敗(ノー・ランク)に終わったためか、約1年ぶりに発売されたサード・アルバムのタイトルはその名もズバリ、グループ名を冠し「ホリーズ」と名づけられた。内容はファースト・アルバムから代わり映えなく、R&B、R&Rのカバーとランスフォード名義によるオリジナル曲で構成されている。しかし今回収録されたランスフォード名義によるオリジナル曲は5曲(Put Yourself In My Place、Too Many People、When I Come Home To Yo、So Lonely 、I've Been Wrong) となった意欲作である。このオリジナル曲が過去作に比べ圧倒的にクオリティが高い。とくにToo Many People、So Lonely の2曲は素晴らしく、実際So Lonely は「恋は窓から」のB面に収録されたが、A面曲としても充分聞きごたえのある傑作といえよう。アルバムにグループ名を使ったのも、自信の現われであろう。約1年の間のかなりの成長ぶりが窺える。
 オリジナルはもちろん、このアルバムではカバー曲の選曲センスも光っている。特に You Must Believe Me はイムプレッションズがオリジナルのスローなR&Bナンバーであるが、これを見事にホリーズ・スタイルのビート・ナンバーに仕上げている。また Fortune Teller のイントロにおけるボビー・エリオットのドラム・ソロはなかなか効果的でカッコイイ。という訳で収録曲は全く申し分のない、初期のホリーズにとっては最高のアルバムと言っても好いと思うのであるが、アルバムの顔とも言えるジャケットが個人的にはちょっと地味すぎるような気がするのである。これだけが残念。この作品は全英アルバム・チャートで8位にランクされている。
 またこのアルバムは65年当時はモノラル盤でしか発売されておらず、後に廉価盤でステレオ・バージョンがリリースされたが、このアルバムは69年にReflections(Regal Starline SRS5008)というタイトルでリリースされた。しかしステレオでリリースする意図は全くなかったのか、このアルバムのステレオミックスは左右にボーカルとバックトラックがくっきり分かれていて、あまり聴けたものではないが、BGOがリイシューした際のCDでは、左右のトラックを中央よりにリミックスしており、聴きやすくなっている。(EMIからのリイシューでは、左右にくっきり分かれたミックスのまま)
 

WOULD YOU BELIEVE?
Parlophone PMC 7008(mono)
Parlophone PCS 7008(stereo)
June 1966

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆☆

sideA
I Take What I Want
Hard, Hard Year
That's How Strong My Love Is
Sweet Little Sixteen
Oriental Sadness
I Am A Rock
sideB
Take Your Time
Don't You Even Care ( What's Gonna Happen To Me )
Fifi The Flea
Stewball
I've Got A Way Of My Own
I Can't Let Go 

 いきなりだが、このアルバムのジャケットはひどすぎる。ジェニファー・セブリーなる女性によるデッサンを使っているのだが、悲しいぐらいセンスが悪い。これなら本アルバムの編集盤であるアメリカ・インペリアル盤「ビート・グループ」ジャケットを流用した方が好かったのではないだろうか?
 で、肝心の収録曲はといえば、ジャケットとは全く違って素晴らしい出来になっている。これまたオリジナル曲とR&Bのカバーのバランスが絶妙で、オリジナルは Hard, Hard Year、Oriental Sadness 、Fifi The Flea、I've Got A Way Of My Own の4曲。前作に収録されたオリジナル曲よりも、さらにクオリティはアップしている。65年に「恋をするなら〜 If I needed someone」のB面で発表されたI've Got A Way Of My Own はもちろんのこと、当時のインド音楽ブームに触発されたのか?タイトル通り東洋風のドラなどを効果的に使ったOriental Sadness は、中国風のアレンジで非常に面白い。
 カバーのほうもSweet Little Sixteenのような定番から、Stewball のようなマニアックなフォークソングまで、バラエティに富んだ選曲をしている。中でも注目はアメリカで当時人気爆発のサイモン&ガーファンクルの I Am A Rock をカバーしている点である。しかしながらこの曲に関しては、感心させられるほどのアレンジはなく、単なるヒ他人のヒット曲のカバーの域を出ていないのが残念。このアルバムはステレオ、モノラル両方の使用でリリースされたが、演奏とボーカルを左右に振り分けただけのミックスは相変わらずひどい。プロデューサーのロン・リチャーズはよっぽどステレオを軽視していたとしか思えない。全英チャートで16位を記録している。

 

FOR CERTAIN BECAUSE...
Parlophone PMC 7011(mono)
Parlophone PCS 7011(stereo)
March 1966

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆☆

 
sideA
What's Wrong With The Way I Live
Pay You Back With Interest
Tell Me To My Face
Clown
Suspicious Look In Your Eyes
It's You
sideB
High Classed
Peculiar Situation
What Went Wrong
Crusader
Don't Even Think About Changing
Stop Stop Stop  
筆者(ミック博士)はこのアルバムをホリーズの最高傑作だと考えている。彼らにとって初の全曲オリジナルであり、各曲のクオリティも非常に高く、彼らの急成長振りは本当にオドロキに値する。またクレジットを偽名のランスフォードからクラーク−ヒックス−ナッシュに変えているあたりにも彼らの自信が窺える。どの曲も傑作であるが、中でも「Peculiar Situation〜恋のシチュエーション」は筆者のフェバリットになっている。「君と一緒にワインを選ぶ、この瞬間が僕には大切なんだ。特別なシチュエーションではないけれど。・・・」などという歌詞は、ただ「愛してる」「君が必要」といったお決まりのラブソングではなく、これまでの彼らの作品には見られなかったものである。また各曲のコーラス・ワークも更に複雑かつ効果的になっていることも注目に値する。またこのアルバムではマンフレッド・マンを脱退し、アレンジャーになったマイク・ヴィッカーズがB−1,3,4で編曲を務めているが、中でも What Went Wrong での大胆なブラス・セクションの導入は、曲の雰囲気と非常にマッチしていて、この曲の元々持つ素晴らしさを増幅させることに成功している。
 いいことばかり書いているようだが、このアルバムには批判すべき欠点がないのである。全曲オリジナルとなるが中には駄作も混じりがちだが、いわゆる曲数合わせの「捨て曲」はないし作風もバラエティ豊か。今までのビート・ポップ路線を継承する What's Wrong With The Way I Live 、ボサ・ノヴァ風のTell Me To My Face 、ボードビル風のコミカルなHigh Classed 、効果音を使ったややシリアスな曲調のCrusader ・・・ 何故このアルバムがそれほど名盤の扱いを受けていないのか?首をかしげざるをえないのである。アメリカでもタイトルこそ「ストップ・ストップ・ストップ」に変わっているが、全く同内容で出た初めてのアルバムでもあった。この事実はこのアルバムの完成度の高さを物語ることにはならないかもしれないが、当時としては極めて異例のことである。しかしながらアルバム・チャートでは23位にランクされたのが最高であった。アルバムのクオリティとチャート成績は必ずしも比例しないという好例である。ビート・グループ・ファンを自称するのであれば必聴のアルバムと言って置こう。なおこのアルバムはデビュー・アルバム以来のしっかりしたステレオ・ミックスが行われているころを最後に付記しておく。このアルバムからベースがエリック・ヘイドリックからバーニー・カルバートに交代している。
 

EVOLUTION
Parlophone PMC 7022(mono)
Parlophone PCS 7022(stereo)
June 1967

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆☆

 
sideA
Then The Heartaches Begin
Stop Right There
Water On The Brain
Lullaby To Tim
Have You Ever Loved Somebody
You Need Love
 sideB
Rain On The Window
Heading For A Fall
Ye Olde Toffee Shoppe
When Your Light's Turned On
Leave Me
Games We Play
 このアルバムも前作に続いて前作オリジナル曲で構成されているが、前作ほどのバラエティ豊かな作風ではない。しかし逆にそれがアルバムとしてまとまりのある作品にしているような気がする。ジャケットもゴキゲンなサイケデリック調で素晴らしい出来になっている。さて、収録曲は全曲アルバムのための書き下ろしで、シングル・ヒットは1曲も含まれていない。これは当時にしてはまだまだ異例なことであったが、13位にランクされるヒットを記録している。
 さて収録曲を見てみると、どれも粒ぞろいだが、これ!といってインパクトのある曲は見当たらない。その代わりに聞き込むほど味のある曲が多い。一番キャッチーなのはザ・サーチャーズがカバーしてシングル発売した Have You Ever Loved Somebodyであろう。アップ・テンポなビートに乗ったコーラスを重用したビート・ポップに仕上がっている。あとヴァイオリンを使ったStop Right There 、ハープシコードが効果的に使われたな Ye Olde Toffee Shoppe が印象的である。この曲はマイク・ヴィッカーズがアレンジを担当して腕を振るっている。ヴィッカーズはA−1〜4、B-1〜3の7曲で編曲を担当している。さて、このアルバムのステレオ・バージョンはなかなか入手困難であったが、'98年に本家EMIが紙ジャケ仕様でリリースした際にモノラル・バージョンと共に収録した。しかし、ここでもまたまたボーカルとバック・トラックを左右に振り分けただけという、全く稚拙なミックスが施されており、筆者をがっくりさせた。こういうミックスは大変聞きにくい。せっかくアレンジも凝ったものになってきているのに、これでは作品の良さを表現できないと思うのだが、なにか意図でもあったのだろうか?
 
BUTTERFLY
Parlophone PMC 7039(mono)
Parlophone PCS 7039(stereo)
November 1967

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆
sideA
Dear Eloise
Away Away Away
Maker
Pegasus
Would You Believe
Wishyouawish
sideB
Postcard
Charlie And Fred
Try It
Elevated
Observations
Step Inside
Butterfly 
 このアルバムも全曲クラーク、ナッシュ、ヒックスのトリオによるオリジナル曲で構成されている。このアルバムではいきなりヒット・シングルの Dear Eloise を持ってきているあたり、セールス的なことを視野に入れたのかもしれない。しかしながらこのアルバムはチャート入りを逃している。しかし筆者の個人的な印象では、前作エボリューションを凌ぐ傑作であるとおもう。確実にサージェント・ペッパーズの影響を受けたと思われる、効果音の多用にオーケストラの導入・・・しかしこれが違和感なく、各曲になじんでいる。Maker では当時の定番であったラーガ・ロックに挑戦シタールを導入しているが、曲の印象はどことなくドノヴァンの一連の作品を思わせる。Pegasusではトニー・ヒックスが初めてソロを取っている。これがなんというか非常にたどたどしく、架空の動物であるペガサスを扱った歌詞に非常にマッチしている。またCharlie And Fred では、冒頭をアカペラで歌うなどそれまでにはない試みで聴くものを驚かせる。このアルバムでもオーケストラが導入されているが、今回のアレンジャーはマイク・ヴィッカーズからジョニー・スコット(A-2〜6)に交代している。
 新しいサウンドに挑戦する一方で、それまでのホリーズのコーラス・ポップ・スタイル(筆者命名)を聞かせてくれている。中でも顕著なのは Step Inside で、ホリーズのコーラスの素晴らしさを再認識させられる。この曲は日本ではシングル・カットされ、なんと「飛び出せ初恋」なる邦題で小ヒットを記録した。この曲だけはオーケストラを使わず、バンドの演奏だけで聞かせている。ましかしたら当初このアルバムはこの曲と Dear Eloise を除いた10曲仕様だったのかもしれない。

 このアルバムでは効果的なステレオ・ミックスが施されており、大変聴きやすい。ジャケットは非常に芸術的なイラストが使われているが、あまりにも地味すぎたため日本を除く多くの国では、独自のジャケットに差し替えてリリースされた。
 
 
   
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