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アニマルズ / THE ANIMALS   
   
   
     
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THE ANIMALS
Columbia 33SX1669
Oct. 1964

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆☆

side A
Story of Bo Diddley
Bury My Body
Dimples
I've Been Around
I'm in Love Again
The Girl Can't Help It

side B
I'm Mad Again
She Said Yeah
The Right Time
Memphis
Boom Boom
Around and Around

 アニマルズ、本国でのファースト・アルバム。1964年10月、意外なことに米盤『The Animals』(内容、ジャケット違いの米ファースト)よりも1ヶ月後のリリースとなる。イギリスでは、税の関係からそう簡単にアルバムをリリースできないという事情もあったらしい。オリジナル・アニマルズ時代のアルバム枚数(ベスト盤を除く)が米国の5枚に比べて3枚と少ないのは、そういった事情によるところも大きかったのだろう。当初は『Animal Farm』という野暮ったいタイトルが予定されていたが、最終的には米盤と同じ『The Animals』としてリリースされている。
 曲目のほとんどはブルーズ/R&Bのカヴァーで、唯一エリック・バードンの名前がクレジットされている「Story of Bo Diddley」もボ・ディドリーのジャングル・ビートに乗せて当時のロック・シーンを語り、挙句には「A Hard Day's Night」まで歌うというもの。オリジナル・ナンバーと言うよりも、ボ・ディドリーへの、そしてエリックがこよなく愛したR&Bへのオマージュだと考えた方がいい。シングル曲では、この時点までに「Baby Let Me Take You Home」「The House Of The Rising Sun」「I'm Crying」と、他のビート・バンドに比べていかにも個性的な作品を発表してきたアニマルズだが、このアルバムの選曲自体は決して珍しいものではない。『Animal Tracks』の著者、シーン・イーガンが指摘しているように、ブルーズ、というか、スピリチュアルと言うべき「Bury My Body」にエリックのマニアぶりが垣間見られるものの、選曲自体は当時のビートバンドの典型と言ってもいいものだ。オリジナル・ドラマーのジョン・スティールによれば、「特に深い考えはなく、適当に思いついたものを演奏しただけ」だということだ。いかにも、ライブ・バンドとして叩き上げてきた若者達らしさを感じさせる話だ。もっとも、当時はどのバンドも、そんなノリでアルバムを作っていたのかもしれない。
 デビュー・アルバムの一曲目がいきなり当時としては破格(?)の5分半、しかも内容は歌というよりもジャムにのせた語りに近い作品だというのは、少々妙な気がしないでもない。しかし、実はエリックの真の魅力はこのような即興演奏にのせたヴォーカルにある。そう考えると、やはりステージでのエリックのアドリブから生まれたと言うこの曲が一曲目に来るのはいかにも相応しいことのように思える。エリックが当時夢中だった黒人音楽やロックンロールへの憧れを語った後に、ファッツ・ドミノのニューオリンズ風サウンド(これはまだ歌いきれていないように思うが)、チャック・ベリーのR&Bにジョン・リーのブルーズ等…が詰め込まれたこのアルバムは、まさしくエリックが…そして、アニマルズのメンバー達が憧れ、愛したアメリカの音楽への一つのオマージュ・アルバムだった。

 最後に余談ながら、アニマルズの音楽に対する僕の認識を述べておく。そのことで、少々舌足らずになった先の文意を補えれば幸いだ。
 一般に、初期アニマルズのアレンジャーはアラン・プライスであり、従ってコロムビア時代のアニマルズの優れた楽曲はアランに負う所が大きいという認識が非常に根強い。コロムビア時代のアニマルズが持っていた、どこか他のブルーズ・バンドとは違う、ユニークな持ち味 − 泥臭いブルーズを熱く演奏しながらも、どこかクールなセンスを感じさせる初期アニマルズの音楽に、アランが大きな役割を果たしただろうことはまず間違いない。アランの名前がクレジットされたトラッド、「Bury My Body」の洒落たセンスなど、恐らくはアランの手によるものだと考えていいだろう。しかし、その手柄すべてをアラン一人のものにしてしまうのは早計だろう。このクールな感覚を生み出すためには、ジョンのドラム・スウィングは欠かせない(これは、チャスも指摘していたことだ)。そしてジョン・スティールは、エリックの嗜好、アイデアがアランを含む他メンバーに大きな影響を与えたことを再三発言している。ジョンに言わせれば、「そのアイデアを実現できる人がいれば、それは別にアランじゃなくても良かった」のだ。これは少々偏った意見だと思うが、アニマルズの音楽におけるエリックの存在は、一般に考えられている以上のものがあることを示していると思うのだが、どうか。また、ギタリストのヒルトン・ヴァレンタインこそ「The House Of The Rising Sun」のアルペジオを考案した人物であり、あのアレンジを嫌ったのはアレンジャーとして名前がクレジットされているアラン只一人だったというのも興味深い事実だ。これは決してアランの役割を否定するのではなく(あの驚異的なオルガン・プレイもまた、この作品を名曲たらしめているものであることは間違いない)、つまり「アニマルズの音楽は、各メンバーがお互いの意見をぶつける中から生まれてきた」ものだったと考えたい。そしてそれは、新旧問わず、アニマルズの基本的な姿勢だったのではないかと思っている。もちろん、感情的に恐らくはエリックと他メンバーが対等だったオリジナル・アニマルズと、明らかにエリックがリーダーだった後のエリック・バードン&ジ・アニマルズとでは、やり方に違いはあっただろうと思うが。

(解説 カタナ・ボート様)

 

ANIMAL TRACKS
Columbia33SX11008
May 1965

レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆

sideA
Mess Around
How You've Changed
Halleluyah I Love Her So
I Believe to My Soul
Worried Life Blues
Roberta
sideB
I Ain't Got You
Bright Lights Big City
Let The Good Times Roll
For Miss Caulker
Roadrunner
 イギリスColumbiaレーベルでのセカンド・アルバム。デビューアルバムと同じ路線を継承した内容で、バートン作の「For Miss Caulker」以外はR&Bのカヴァーになっている。シングルヒットが収録されていない、地味な内容なのだが、全英6位のヒットを記録している。ジャケットは楽曲のTRACKSと線路のTRACKSをかけたシャレ。
 

ANIMALISMS
Decca LK 4797
June 1966


レア度 ☆☆
お勧め度 ☆☆☆

 
sideA
One Monkey Don't Stop No Show
Outcast
Maudie
Sweet Little Sixteen
You're On My Mind
Clapping

sideB
Gin House Blues
Squeeze Her Tease Her
What Am I Living For
I Put A Spell On You
That's All I Am to You
She'll Return It

 英デッカ時代唯一のアルバムで、リーダーのアラン・プライスが脱退、プロデューサーもミッキー・モストからトム・ウィルソンにかわり、さらにドラマーもバリー・ジェンキンスに交代し、サウンド自体も微妙に変化している。従来どおりのR&Bにカバーに加えオリジナル曲(A-5,6、B-18)にも挑戦している。バードンとロウベリーによるYou're On My Mindは、それまでのアニマルズのイメージとは違う、ポップでかわいらしい曲に仕上がっている。その意味ではロウベリーは重要な存在で、エリック・バードン&アニマルズに変遷してからも愛唱した「CC Rider」をアレンジしたのも彼だし、このアルバムでは手拍子だけで構成した「Clapping」という実験的な楽曲も提供している。デッカ移籍後、「孤独の叫び Indside Looking Out」「炎の恋 Don't Bring Me Down」というビッグ・ヒットがあったが、アルバムには未収録(日本盤では追加収録)。しかしながらアルバム・チャートを4位まで上昇するヒット・アルバムとなった。
   
   
   
 
   
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