エンリケ・トーレスのロッキングチェア・ホールド
2024.11.11 upload
2024.11.17 update
エンリケ・トーレスが第1回ワールド大リーグ戦で披露したロッキングチェア・ホールド |
オクラホマ・ヘイライド、ローリング・クレイドルの原点となるのがこのロッキングチェア・ホール=バナナスプレッドである。この技はアマレスのバナナスプレッドをプロレスに持ち込んだもので、古典的なグラウンド技である。 日本ではルー・テーズが昭和32年10月7日・後楽園球場での力道山とのNWA世界戦でこの技を披露したが、この時は単なる痛め技でフィニッシュ・ホールドとしては使っていない。 この技をフィニッシュ・ホールドとして使用したのは「第1回ワールド大リーグ戦」に来日したエンリケ・トーレスだと言われている。「プロレス&ボクシング」増刊昭和39年3月号のグラビア特集「プロレス代表50技写真解説」の鈴木庄一氏によるこの技の解説を引用する。 名手エンリキートーレスの十八番の決めわざ。倒れた相手を横に寝たまま、両足で相手の片足をレッグロックし、両手でもう一方の足を引っぱり、レッグ・スプレッド(またさき)のような格好にして責めあげるわざで、自分の身体を上下にゆり動かして責めるので相手はその苦痛に耐えかねてギブアップします。 身体を上下にゆり動かして責めあげる状態が、ゆり椅子(ロッキング・チェア)に寝ているのによく似ているところからこの名称がつけられました。 このわぎをかけるにはよほどのスピードと好判断がなくてはできません。よほどのテクニシヤンでなくてはやれるわざではありません。(引用おわり) この解説からわかることは、トーレスはバナナスプレッドの状態で相手をとらえ、相手を上下に揺り動かしギブアップを奪っていたということである。揺り動かすからロッキングチェア・ホールドというわけである。しゃれたネーミングだ。しかし上下に揺らさなくても古くはロッキングチェア・ホールドと呼んでいたようである。 日本では猪木がこの技を痛め技として使っていたが、昭和49年の「闘魂シリーズ」では日本プロレス以来のライバルであるジョン・トロスをフォールしている。 このアマレス流の拷問技に「回転する」というアクションを加えたのが、オクラホマ・ヘイライドでありローリング・クレイドルだったというわけである。 |
テーズは相手の右足も腕を使って極めようとしている | 猪木はトロスをフォール |
アマレス出身の長州も使っていた。S54年の猪木とのシングル戦で披露 |
ロッキングチェア・ホールドをさらにアレンジした技をヨーロッパ系のレスラーが使っていた。ドイツのホースト・ホフマンとイギリスのビル・ロビンソン。両者かけ方が違うがバナナスプレッドの要領で股割きに持ち込みが相手の足の膝裏に足をあてがい、相手の足をつかんでテコの原理でグイグイと締め上げるという拷問技を使っていた。 |
バナナスプレッドの状態から相手の足をテコの原理で痛めつける拷問技 | ホフマンの場合は足の決め方が通常のバナナスプレッドとはことなる |