ハンス・シュミットのシュミット流バック・ブリーカー

2001.4.14 update

 

 
     

42年初来日時。中腰のオリジナル。

 

50年7月 新日本プロ参加時。
こっちの方が説得力があります。

 

昭和プロレス掲示板では過去多くの技が話題に上った。先月(2001年3月)話題になったのがハンスシュミットのシュミット式バックブリーカーである。そのときはオリジナルのシュミットのバックブリーカーは中腰で背骨というより相手の脇腹を膝に当てているようだったという意見が多かった。私も「悪役列伝」なるビデオで60年代に東部で行われたと思しきバーン・ガニア戦で爆発したこの技を見たが、やはり中腰で膝に叩き付けるというよりポーンと当てるような印象を受けた。これが元祖のスタイルだったのである。

しかし筆者ののあたまの片隅にはシュミットが「ちゃんとした」バック・ブリーカーをやっている写真を見た記憶がわずかにあった。で、早速、新日本プロに3度目の来日を果たした当時の雑誌をくってみると、ちゃーんと左膝をついて直角に曲げた右膝に相手の背骨を叩き付けている写真が載っていたのである。なぜシュミットは中腰のオリジナル・スタイルから普及版のスタイルに変えてしまったか?これはおそらくオリジナル・スタイルがあまりにも迫力不足なので、新日本プロが「片膝をついてやってくれ」とシュミットに懇願したのではないかというのが筆者の推理だが果してどうか?

実はこのシュミット流という呼び名は日本だけの物らしい。初来日時にシュミットはこのことを聞かれて、「え?おれが考えたんじゃないよ。」とあっさりいってしまったという。シュミットがこの技を使っている写真を見て、当時のプロレスマスコミが「シュミット流」とネーミングしたという訳である。

本家シュミットのほかには同じカナダ出身のジン・キニスキーがフィニッシュホールドとして多用していたのが思い出される。一時期はアンドレ・ザ・ジャイアントもこの技を使っていたが、あれは強烈であった。

 

 

大阪球場で馬場をKOしたキニスキ
ーのシュミット流背骨折り。

 

さて日本レスラーでこの技の使い手といえば「世界の荒鷲」坂口征二である。アルゼンチン式と並んで坂口はこの背骨折りを最大の武器にしていたが、47年11月にザ・カンガルーズ相手に見せたシュミット流バックブリーカーは坂口流と呼んでもおかしくないほどのアレンジを施し破壊力をアップしているので、連続写真で紹介させて頂きたい。デッドリードライブ張りに肩口に担ぎ上げ、遠心力を利用して背骨を膝に叩き付ける。これなら1発でフォールに持ち込める破壊力がある。残念ながら坂口はこの技を封印してしまったのか?それ以降あまり見せていない

 

   

 

 

   
         

コブラ・クラッチの体勢から・・・。

 

ひざをついて相手を仰向けにし・・・

  ひざに背骨を押し付けさらにコブラク
ラッチで締め上げる。

 

この技のアレンジ系として有名なのがジャイアント馬場のジャイアント・バックブリーカー。コグラクラッチに決めた相手をそのまま仰向けにさせ膝の上で背骨を傷めつけると言う馬場ならでわの豪快な技であった。馬場も全日本プロではあまりこの技を使わなかったようだ。やはり膝に負担がかかるのであろう。いま思えばこのシュミット流も武藤あたりが、ムーンサルトへの繋ぎ技として(しかもちょこんと背中を膝に当てるだけ)使う程度の絶滅種になってしまった。