ジョニー・パワーズのパワーズ・ロック

2001.11.2 update
2002.10.18改訂

 

 

パワーズ・ロックにこだわり続けたジョニー・パワーズ

 

この「昭和必殺技名鑑」には数多くの「一芸さん」が登場しているが、中でも究極の一芸さんを今回はご紹介したい。「**のひとつ覚え」と言う言葉があるがジョニー・パワーズにとってパワーズ・ロック(8の字固め)はまさに「**のひとつ覚え」であった。パワーズの初来日は東京プロレスだったが、当時の熱戦譜を見てみると3本勝負の場合も3本目のフィニッシュはパワーズロック。新日本プロレスのマットでは勝った試合のフィニッシュはほぼ100%パワーズロックで極めているのである。よく言えばこの技にこだわりを持っていた、悪く言えばワンパターンと言ったところか。

「足4の字固めと足8の字固めって、いったいどこが違うんだ?」プロレスファンが集まれば、必ずといっていいほど登場する話題である。「4の字固めの2倍効くからだ!」、「いやぁ、足の形が8の字に見えるんだよ」などと、話は尽きない。ではまずパワーズの足8の字固め(パワーズロック)をビデオからのキャプチャー写真でごらんいただこう。

 

     
             
相手のつま先のほうを向いて足を取
りに行くのがまず一つ目の特徴。
 

そして左足を取り4の字に・・・

 

そのまま腰を落とす。この時点で
右足をフックすることもあった。

 

倒れこむ瞬間に右足をフック

     
             
そして自らの右足も左足にフック。
これで8の字が完成するわけだ!
 

もがく猪木!

 

ロープに逃れようと半回転する。

  足4の字は裏返るとかけた方が、
苦しむのだが・・・。
     
             
パワーズ・ロックは裏返ってもなお
相手に苦痛を与える。
 

完全にフックされた足に注目。

 

ついに猪木もギブアップ!

  この表情がパワーズの魅力で
あった。

 

パワーズ・ロックに持ち込むまでのパワーズの足への攻撃は執拗で陰湿。足を攻められふらふらになったところを、このパワースロックで止めを刺すわけである。まさに死神のイメージにぴったりな技であった。この技の合理的なところは(連続写真ではそうではないが)倒れこむまでに足をロックしてしまうところにある。こうすることにより、よく4の字固めをめぐる攻防で見られるフックする足をつかまれるという防御策を使えなくしているわけである。

さて「なぜ8の字なのか?」と言うことだが、パワーズの場合自分の足も輪を作るようにロックしているので、相手の脚で出来た輪と合わせて8の字に見えなくもない。また裏返えされたら逆にかけているほうが苦しむ足4の字固めと違いパワーズ・ロックは裏返しても相手にダメージを与える。つまり表でも裏でも効くので足4の字の倍なので足8の字と言うのも間違っていないような気がする。この技はパワーズ一代の技というか、パワーズが使わなければ単なる足4の字固めな訳で、必然的に後継者はいない。

足4の字固めについては皆様のご要望で独立させた「ザ・デストロイヤーの足四の字固め」をご覧頂きたい。