ザ・デストロイヤーの足4の字固め

2002.10.18 update

 

 

力道山最後の試合で炸裂した足4の字固め。

 

状態をリバウンドさせ両手でマットをたたく独特のアクション。

 

 

     

左足を取って。

 

右方向に回転。

 

スピニング・トー・ホールドと同じ
動き。

 

360度回って・・・。

     

相手の右足に手を伸ばす。

 

そして逆4の字に足をロックして。

 

勢いよく倒れこみながら足をフック。

  そして上半身を落としマットをたたく
アクションを繰り返す。

 

 元々このコーナーでは、足4の字固めをパワーズロックの項で紹介していたのだが、常連の皆さんの熱烈なるリクエストにお答えして、今回ようやく独立して皆さんの前にお目見えいたしました。デストロイヤーは力道山最後の対戦相手として、リアルタイムでご覧になっていたプロレス・ファンの心に焼き付いているレスラーである。そのデストロイヤーの必殺技が足4の字固めであり、プロレスごっこでも頻繁に繰り出される単純な技であったが、その威力は強烈でこの技をかけられて悲鳴を上げた向きも多かろう。この技は誰にかけられても痛く、痛みを身をもって知れる点でこの技は「必殺技」の最右翼に踊り出たのである。

 ご存知のように寝技と言うのは特に大きな会場では観客からは見難く、あまり好まれないのだが、デストロイヤーは両手でマットをたたきながら上半身をリバウンドさせると言う方法をとり、ファンにアピールした。やはり必殺技として語り継がれるにはこのような工夫が必要である。その点、ジャック・ブリスコやパット・パターソンはただ寝そべったままでこの技を極めていたが、彼らの4の字固めがあまりインパクトを持ってかたられないのはそのためかもしれない。その点、リック・フレアーは上半身を持ち上げたり、腕を突き上げるなどして後方のファンにも十分アピールするような工夫をしていた。この辺のセンスが彼を何度もNWA世界王者に返り咲かせ、いまだにトップでプロレスを続けているゆえんではなかろうか?

 

フレアーは上半身を持ち上げることによりファンにアピールした。

 

     
パターソンの場合、相手の左足を
取る。
 

そして股の間から相手の左足
をつかむ。

 

そして4の字にロックし、倒れこみながら
右足をフック。

  パターソンは裏返されると苦しんでいた。

 

この技は技に入るまでの動きもレスラーによってさまざまだ。大きくわけて相手の脚を取って回転しながら脚を巻き込む方式(デストロイヤーが代表)と、回転せずに脚を自分の脚に巻き込んで倒れこむ方式(ブリスコなど多数)の2種類がある。ちょっと代わっているのがパターソンでパターソンは左足をとるのが特徴。弱点としてはデストロイヤー式は回転する途中に蹴飛ばされることがあり、ブリスコ式は脚を巻き込むときに前かがみになることが多くこの時に首固めで逆転されることが多い。

 さて足4の字固めが反転すると、かけた方が痛くなる?というのも4の字固めを語る上で出てくる話題だ。反転するとかけられたほうが有利になるという場面を何度も見た。しかし、パワーズ・ロックのようにわざわざ裏返して足4の字固めのフィニッシュに持ち込んでいたと思われるレスラーがいる。ついに日本にはくることがなく、幻のレスラーとなった野生児バディ・ロジャースである。

 

 
裏返してさらに自らの左足をつかんで固定しているのに注目。  

ブリスコはかけてからのアクションがない。

 

つまり、足4の字を裏返すと攻守逆転というのは、よりスリリングさをますために生み出されたギミック説が浮上する。しかし、ただ裏返すだけではディフェンス、オフェンスの交代とはならないことを別冊ゴング52年4月号のグラビア写真で発見したのでご覧いただこう。

 

 

この状態では両者苦悶の表情。

 

マスカラスの動きにヒントが!

 

 お分かりいただけただろうか?4の字固めをかけられたほうのマスカラスに注目していただきたい。これはパワーズ、ロジャーが裏返ったときにとってのとまったく同じ体勢である。つまり裏返った場合は、上体を起こしたほうが、オフェンスに転換するのである!裏返れば攻守逆転というのは、断じてギミックではない!と当研究所の公式見解として宣言させていただこう(笑)。

 さて、忘れてはならないのが日本陣営の使い手である。この技を頻繁にフィニッシュに使った日本人レスラーはおそらくグレート草津であろう。英国西部南部統一戦ではブル・デービスを2本とも4の字固めでギブアップに追い込んでいる。大木金太郎もアジア選手権などここ一番で多用していたが、この二人もかけてからの工夫が足りないような気がする。そして日本における足4の字固め名場面を語る上で忘れちゃいけないのが53年三軍対抗戦で行われた馬場と木村の試合での足4の字固め。馬場に足4の字をかけられた木村はロープブレイク。しかしレフェリー芳の里はブレイクせず、エプロンに身体を乗り出した木村のリングアウトカウントを数え始め、木村はリングアウト負けを宣言されたのである。実はこの展開はインタータッグが海外に流出した時、と似た展開(クラップを足4の時で捕らえた大木をエリックがエプロンに引きづり出してそのままリングアウトになった。情報提供:水車さん)なのである。この展開には芳の里の影がちらついているような気がしてならぬ。

 

 
デストとの4の字合戦を行った草津。  

この裁定はどう考えても木村がかわいそう!