アルバム・タイトルの後ろのアルファベットは、録音時のメンバー構成をあらわしています。(メンバー変遷史の項参照)収録曲が同じメンバーで構成されていないアルバムや、一曲だけメンバーが異なるものは曲名の後ろにアルファベットを明記しました。
「15 GREAT HITS」以外のオリジナル・アルバムはすべてサンデイズド・レコードからボーナス・トラック付きで再発されております。 |
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THE KINGSMEN
IN PERSON [B]
Wand LP657
CD:Sandazed SC6004
お勧め度 : ☆☆
レア度 : ☆
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side A Louie Louie [A] The waiting Mojo
workout Fever Money Bent scepter |
side B Long Tall Texan You can't sit
down Twist & shout J.A.J. Night train Mashed potatoes
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「ルイ・ルイ」のヒットを記念してリリースされたファースト・アルバムは、当時良くあったスタジオ・テイクに歓声をダビングした疑似ライブ盤。しかしなぜか「ルイ・ルイ」だけには歓声が入っていない。どうしてでしょう?この彼らの最大のヒット「ルイ・ルイ」のヴォーカルはジャック・エリイと言う人がとってたんだが、このアルバムを録音する頃にはすでに脱退していた。そういう理由で2曲目からの疑似ライブなのかも。もしかしたらホントのライブかもしれないが、どう考えても歓声が不自然。しかしこのアルバム、疑似ライブであるにもかかわらずライブ以上に演奏やヴォーカルがライブっぽい。恐ろしいほどルーズかつ粗削りだ。ま、そこがキングスメンの魅力なんですがね。
12曲中5曲がインストゥルメンタルと言うこのアルバム、ほとんどがリズム&ブルースやロックン・ロールのカバーな訳だが、どの曲も単なるカバーに終わらず、上手く消化して独自のキングスメン・サウンドを聞かせているあたりはさすが。またオリジナル曲も2曲入っているが、そのクオリティの低さもなかなかのもの。まぁ、早い話が『「ルイ・ルイ」が入っているだけ』のアルバムって気がするわけです。初心者にはあまり進めないほうがよさそう。このアルバムを最初に聞くと、キングスメンの真価を見誤ってしまいかねないので…。
CD bonus tracks
Haunted castle, The krunch, (you got) The gamma Goochee(Sundazed SC6004)
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THE KINGSMEN Volume2
[C]
Wand LP659
CD:Sandazed SC6005
お勧め度 : ☆☆☆
レア度 : ☆
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side A Kingsmen introduction Little Latin Lupe
Lu Long green Do you love me New Orleans Walking the dog David’s
mood
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side B Something's got a hold on me Let the
good times roll Ooh poo pah doo Great balls of fire Linda Lou
Death
of an angel |
メンバー紹介で始まるこのセカンド・アルバムは、キングスメンのアルバム群の中でもベストの部類に入 る傑作と言っても良い気がする。このアルバムもリズム・アンド・ブルースのカバーが中心の選曲なのだ が、何と言って間彼らの演奏からファーストアルバムで聞かれた「下世話な」パワーが消え、まともになっているのは特筆に価する。とは言っても当時のほかの上品な白人グループに比べれば、充分アクは強いのでご心配なく。喚き立てるようなリン・イーストンのボーカルも、それに負けじと喧嘩腰のコーラスも健在です。前作に比べてやや力を抜いて楽しんでレコーディングしていると言う感じのアルバムになっています。
相変わらず相撲にたとえれば「ガブリ寄り」一辺倒みたいな曲が次々と飛び出してくるわけだが、唯一「デス・オブ・アン・エンジェル」は、「やっと土俵際の相撲を覚えたか…」とホッと胸をなで下ろすようないい感じのバラードで、彼らの一味違った一面も垣間見ることが出来る傑作と言えそう。また、CDにはボーナス・トラックとして、ファースト・プレスにだけ収録されていたと言うリン・イーストンのオリジナル「アンド・ユー・ビリーヴド・ヒム」が収録されているので要チェック。初心者にもお勧めの一枚。
CD bonus tracks
And you believed him, Give her lovin’ (Sundazed
SC6005)
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THE KINGSMEN Volume.3
[C]
Wand LP662
CD:Sandazed SC6006
お勧め度 : ☆☆☆
レア度 : ☆ |
side A Over you That's cool that's
trash Jolly green giant Don't you just know it I'll go
crazy
La-do-dada |
side B Long green Mother in
law Shout Searchin' for love Tall cool one
Comin' home
baby
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キングスメン3枚目のアルバムである本作は、彼らの6枚のオリジナル・アルバムの中でも最高傑作と呼ぶにふさわしいクオリティを持っているし、アメリカン・ビート・グループ史上に残るマスターピースと言っても過言ではない。ようやく演奏に余裕が出てきた感じで、良い意味で落ち着いてきたと言う感じがする。もっと言えば貫禄が付いたと言うか。特にシングル発売されたスローン&バリによる傑作「ザッツ・クール、ザッツ・トラッシュ」は彼らのキャリアを通してみても、ベスト・トラックの部類に入るパフォーマンスである。これに負けずにすばらしいのが、リン・イーストンによるオリジナル(とは言っても「ビッグ・ボーイ・ピート」の替え歌に過ぎないのだが…)「ジョリー・グリーン・ジャイアント」。パーティー・バンドの面目躍如と言った力演は、キングスメン特有の「お下劣な」パワー全開の魅力を堪能できる点で、「ルイ・ルイ」と並んで彼らの代表曲と位置されて然るべきであろう。
このアルバムのもうひとつの聴きどころは、ラスト・ナンバーの「カミン・ホーム・ベイビー」。この曲はインスト・ゥルメンタルなんだが、キングスメンの演奏技術を裏打ちする最高にクールでイカすナンバーなのである。そんなわけでキングスメンのファンを自認するなら、持ってなきゃならない名盤だ。
CD bonus tracks
Since you’ve been gone, It’s only the dog, The wolf of Manhattan
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THE KINGSMEN ON CAMPUS [C]
Wand LP670
CD:Sandazed SC6014
お勧め度 : ☆☆
レア度 : ☆ |
side A Annie Fanny Rosalie A hard day's
night Stand by me Little green thing The climb |
side B
Sticks and stones
Peter Gunn
Sometimes
Shotgun
I like it like that
Genevieve
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キングスメンの4枚目のアルバムは、ライブ盤を思わせるタイトルが付けられているが、実は全編スタジオ録音曲が収録されている。彼らの最高傑作と筆者が位置づけた前作のまとまりに比べると、今回は気が抜けたのかどうか知らないが、リン・イーストンのヴォーカル以下演奏ももうフニャフニャになっていて、とても同じメンバーが演奏したとは思えないものになっている。ある意味キングスメンの本領が発揮された快作ですね、これは。中でも「スタンド・バイ・ミー」あたりは常軌を逸した名演ぶりであります。ゆえに影の名盤であるともいえる興味深いアルバムです。
しかし一方では「ア・ハード・デイズ・ナイト」をインストでやってみたりして、彼らなりにいろいろ音楽性みたいなものを探求していたと言うことは分かる。しかしそれ以上に他の収録曲での、あまりにもイージーすぎる演奏ぶりが、その事実に目が行かないようにしてしまっているのは残念でならない。もしかしたらアルバム・タイトルの通り当初の予定では(疑似)ライブ盤としてリリースする計画があって、ライブ風にわざとラフな演奏をしたとも考えられるが、これは考え過ぎでしょうか?マニア向けの一枚と言うことにしておくのが無難ではないだろうか。日本では「ハロー!キングスメン」のタイトルで彼らのデビュー盤として発売されていた。
CD bonus tracks
Get out of my life woman, Don't say no, My wife can't cook
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THE KINGSMEN
15 GREAT HITS
Wand LP674
お勧め度 : ☆☆
レア度 : ☆☆ |
side A
Twist and shout [A]
Money[B]
Jenny take a ride[D]
Do you love me [C]
Oo Poo pah doo[C]
Shout[C]
New orleans[C]
Fever[C] |
side B
Killer Joe [D]
Good lovin' [D]
Quarter to three [D]
Poison ivy [D]
Searchin’ [D]
Hang on Sloopy [D]
Satisfaction [D]
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タイトルを見ただけではベスト盤のような印象を受けるが、それにしては、彼らの最大のヒットである「ルイ・ルイ」や「ジョリー・グリーン・ジャイアント」も収録されていない。A面はほとんどがすでにアルバムやシングルで発売されていた曲で構成されているが、B面はすべてがキーボードにJ・C・リックを迎えた新メンバーによる録音となっている、全く製作意図が不明なアルバム。その為かサンデイズドもオリジナル・アルバムのCD化に際してこのアルバムだけはライン・ナップから外している。
さて、そういう訳でこのアルバムの目玉は新メンバーによる新曲と言うことになるのだが、この8曲が前作アルバムで聞かれたラフな演奏にさらに拍車がかかった、なんとも形容しがたいものになっている。まるで酔っ払いが歌っているようなイーストンのボーカルに、麻薬中毒者が幻覚と戦いながら演奏しているようなサウンドが必死に覆い被さっていると言った感じ。ひとことでいえばフニャフニャ。最高傑作と位置づけた3枚目のアルバムと聞いた後にこのアルバムを聞くと、「本当に同じバンドの演奏だろうか?」と自分の耳を疑ってしまうという、恐ろしいアルバムである。
ジャケットの写真は新メンバーではなく、旧メンバーの写真が使われている。またこのアルバムは日本でそのまま同じ内容で発売された唯一のアルバムであった。
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UP AND AWAY
Wand LP675
CD:Sandazed SC6015
お勧め度 : ☆☆
レア度 : ☆☆ |
side A
Trouble [E]
If I needed someone [F]
Grass is green [F]
Tossin' and turnin' [E]
Under my thumb [E]
Wild thing [E]
(I have found) Another girl [G] |
side B
Daytime shadow[E]
Shake a little feather [E]
Children's care taker [F]
Land of 1000 dances [E]
Mustang Sally [E]
Little Sally Tease[E]
Hush-a-bye[F]
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キングスメンが1960年代にワンド・レコードから発売した最後のアルバム。前作、前々作と比べると、有終の美を飾るかのように、このアルバムに収録された曲の演奏面でのクオリティはかなり高い。しかし残念なことに、キングスメンのサウンドをかたる上で欠かすことの出来ないリン・イーストンが制作途中で脱退してしまっているのである。(ジャケットにはイーストン在籍時の写真が使われている。)だがそれを差し引いても3作目に並ぶ傑作で、作品としての水準も、当時の最先端であった「ニュー・ロック」と呼ばれた連中のアルバムに比べても遜色の無いものになっている。(これは言い過ぎ。)
このアルバムは前述のようにイーストンが途中で抜けたため、収録したメンバーは曲によってばらつきがある。その為か収録曲の持つ雰囲気もバラエティに富んでいる。リン・イーストン在籍時の最後の作品群[E]は従来どおりのリズム・アンド・ブルースのカバー。イーストン
脱退後のマイク・ミッチェルがイニシアティブを取った作品は、それまでのキングスメンとは全く異なるフォーク・ロック調の作品になっている。その両作品群のコントラストが、絶妙なバランスとなって、このアルバムの作品的価値を高めていると言っても良い。ファン必聴の一枚。
CD bonus tracks: Killer Joe
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