IWA世界ヘビー級選手権 パート1 (44〜45年)

 

タイトルのあらまし

昭和43年に設立されたIWAが認定したヘビー級のシングル・タイトルで、第1回IWAワールド・シリーズを王座決定トーナメントとした。結果優勝者のビル・ロビンソンが王座を獲得。44年前半は日本にとどまりエースとして君臨。以後国際プロのエースの象徴となるが、途中3度も海外に流出。50年代に入ると挑戦者のランクも落ち、他団体の看板タイトルに比べ、格が落ちるといわれたこともあったが、40年代の挑戦者陣の顔ぶれは、さすが欧州系にも強い国際プロだけあって、国際色豊かで実に豪華であった。

 

歴代王者

1.ビル・ロビンソン、2.サンダー杉山、3.ビッグ・ビル・ミラー、4.ストロング小林、5.ワフー・マクダニエル、6.ストロング小林(国際プロ離脱により王座剥奪)、7.ビル・ロビンソン、8.スーパースター・ビリー・グラハム、9.マイティ井上、10.マッドドッグ・バション、11.ラッシャー木村(試合結果を不服として王座返上)、12.ラッシャー木村、13.上田馬之助、14.ラッシャー木村、15.バーン・ガニア、16.ラッシャー木村 (国際プロ解散で王座消滅)

 

 
     
ビル・ロビンソン   サンダー杉山

 

国内タイトル戦一覧 (左が選手権保持者)
 
44年1月1日 宮崎県営体育館 61分3本勝負 ビッグ・ウィンター・シリーズ
○ ビル・ロビンソン (2−1) グレート草津 ●
ロビンソン (体固め 5分5秒)
草津(アバラ折り 3分36秒)
ロビンソン(体固め 9分33秒)
 
44年1月28日 東京 足立区体育館 61分3本勝負 ビッグ・ウィンター・シリーズ
○ ビル・ロビンソン (2−1) チーフ・ホワイト・ウルフ ●
ウルフ (体固め 14分43秒)
ロビンソン(回転エビ固め 5分46秒)
ロビンソン(体固め 5分55秒)
 
44年4月22日 東京 大田区体育館 61分3本勝負 ワールド選抜シリーズ
○ ビル・ロビンソン (2−1) スタン・スタージャック●
ロビンソン (エビ固め 4分30秒)
スタージャック (体固め 4分30秒)
ロビンソン(体固め 3分30秒)
 
44年5月5日 新潟市体育館 時間無制限 1本勝負 ワールド選抜シリーズ
○ ビル・ロビンソン (2−1) ラッシャー木村 ●
ロビンソン (体固め 10分42秒)

ロビンソンの日本滞在契約はこのシリーズで切れることとなり、タイトルの海外流出を防ぐためロビンソンへの刺客に国際プロが白羽の矢を立てたのが当時売り出し中のラッシャー木村。時間無制限1本勝負で挑んだものの、わずか10分で人間風車でKOされてしまった。この後約1年間国際プロは看板タイトルを失ってしまう。帰国したロビンソンは欧州各地で計23回の防衛戦を行なった。

 
45年5月18日 館山市民センター 61分3本勝負 第2回IWAワールドS
○ ビル・ロビンソン (2−1) グレート草津 ●
ロビンソン (逆さ押え込み 44秒)
草津 (アバラ折り 13分15秒)
ロビンソン(首固め 3分49秒)
 
45年5月19日 仙台市レジャーセンター 61分3本勝負 第2回IWAワールドS
○ ビル・ロビンソン (2−1) サンダー杉山●
杉山 (体固め 15分22秒)
ロビンソン (逆さ押え込み 2分2秒)
杉山 (リングアウト 4分53秒)

看板タイトルの日本奪還に必死の国際プロは、2日連続でロビンソンに若きエースをぶつけた。草津は完敗を喫するが、杉山はロビンソンがーロープに足を挟まれエプロンで宙づりになるという「アクシデント」でまんまと王座を獲得。エースの座を手に入れたのであった。

 
45年7月18日 深谷市体育館 61分3本勝負 ビッグ・サマー・シリーズ
○ サンダー杉山 (2−1) ドクター・デス ●
杉山 (体固め 5分58秒)
デス (反則勝ち 3分21秒)
杉山(反則勝ち 1分13秒)
 
45年8月3日 盛岡市体育館 61分3本勝負 ビッグ・サマー・シリーズ
○ サンダー杉山 (2−1) エドワード・カーペンティア●
杉山 (体固め 4分54秒)
カーペンティア (体固め 2分33秒)
杉山(体固め 2分56秒)

幻の強豪といわれたエドワード・カーペンティアが遂に日本に上陸したが、全盛期は過ぎていた感があり、杉山の牙城は崩せなかった。

 
45年8月25日 札幌中島スポーツセンター 61分3本勝負 ビッグ・サマー・シリーズ
○ サンダー杉山 (2−1) ジャック・デ・ラサルテス ●
(両者リングアウト 10分32秒)
杉山(体固め 40秒)
 
45年9月15日 深谷市体育館 61分3本勝負 ダイナマイト・シリーズ
○ サンダー杉山 (2−1) ブルー・ディモン(レス・ウォルフ) ●
(両者リングアウト 19分27秒)
杉山(逆エビ固め 4分7秒)
 
45年10月12日 東京 台東区体育館 61分3本勝負 ダイナマイト・シリーズ
○ サンダー杉山 (2−1) メッサーシュミット ●
杉山 (逆エビ固め 9分50秒)
杉山(リングアウト 2分48秒)
 
45年12月10日 群馬県吉井町体育館 61分3本勝負 ビッグ・ウィンター・シリーズ
○ サンダー杉山 (2−1) ラリー・ヘニング ●
(両者リングアウト 4分5秒)
杉山(反則勝ち 1分24秒)

IWA世界タッグを奪って絶好調のヘニングは若い杉山を手玉に取りやりたい放題の反則負け。杉山は辛くも王座を防衛し年を越した。

 

 

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