第8〜10、12,13回優勝者 ジャイアント馬場   第11回優勝者 アントニオ猪木

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第11回ワールド・リーグ戦 昭和44年

ルール

予選は外人対日本人の対抗戦、外人組、日本組の最高得点者で優勝決定戦を行なう。

参加選手

日本組
ジャイアント馬場、アントニオ猪木、坂口征二、吉村道明、星野勘太郎、山本小鉄、大熊元司、大木金太郎(韓国代表)

外人組
ボボ・ブラジル、ボビー・ダンカン(以上アメリカ代表)、ゴリラ・モンスーン(イタリア代表)、クリス・マルコフ(ロシア代表)、メディコ2号、メディコ3号、ペッパー・ゴメッツ(以上メキシコ代表)、トム・アンドリュース(カナダ代表)

予選リーグ : 30分1本勝負

○フォール・ギブアップ勝ち、不戦勝□ (1点)、時間切れ引き分け △、両者リングアウト▲ (0.5点)、● 負け (0点)

 

  ブラ
ジル
モン
スン
マル
コフ
2号 3号 ゴメ
ッツ
ダン
カン
アン
ドリ
得点
馬場 6.5
猪木 6.5
大木
坂口 5.5
吉村
星野
山本
大熊 0.5

馬場、猪木が同点で優勝決定戦進出。

 

  馬場 猪木 大木 坂口 吉村 星野 山本 大熊 得点
ブラジル 6.5
モンスーン 4.5
マルコフ 6.5
メディコ2号
メディコ3号
ゴメッツ
ダンカン
アンドリュース 1.5

ブラジル、マルコフが同点で優勝決定戦進出。

優勝決定戦 30分1本勝負 ( 5月16日 東京体育館)

くじ引きにより一回戦は馬場対ブラジル、猪木対マルコフの組み合わせとなる。

△ ジャイアント馬場( 時間切れ引き分け) ブラジル △

○猪木(卍固め17分45秒)マルコフ●

アントニオ猪木が初優勝。

解説

猪木がようやく馬場に追いついたのがこの第11回ワールドリーグ戦であった。リーグ戦の星取りは熾烈を極め、日本組は一点差のなかに5人が入るというデッドヒートレース。坂口はやはりキャリア不足を露呈し一足早く脱落したが、吉村と大木はここで意地を見せる大活躍。特にブラジルから一勝を挙げた吉村の活躍は特筆すべきであろう。外人勢はブラジルとモンスーンが本命視されていたが、モンスーンが不調で緒戦で馬場に勝ったものの大木、猪木にフォール負け、まさかの山本にも星を落とす始末で、早々に優勝戦線から脱落。その代わりに初来日のマルコフが狂暴なファイトで予想以上の活躍をし、馬場には負けたものの猪木と引分けたほかは全勝、ブラジルと同点で決勝に進出する事となる。

星取り表をみても解るように、予選終了次点で日本組、外人組ともに二人が首位に立つという大混戦。今の常識からすれば日本組、外人組でそれぞれ準決勝を行なってから各陣営の代表者が優勝決定戦に進出するのが妥当と思われるが、馬場と猪木の潰し合いを恐れた日本プロのフロントは日本人対外人による予選の延長戦のような形式で優勝者を決定する事となる。馬場は苦手のブラジルと当たり、猪木は予選で引分けたマルコフと当たり猪木が初優勝を果たす訳だが、猪木がブラジルより一枚落ちるマルコフと当たったために、猪木の優勝はくじ運が良かったという世評が出てきて猪木の馬場との直接対決への執念の炎に油を注ぐのである。

 

 

第12回ワールド・リーグ戦 昭和45年

ルール

予選は外人対日本人の対抗戦、外人組、日本組の最高得点者で優勝決定戦を行なう。

参加選手

日本組
ジャイアント馬場、アントニオ猪木、坂口征二、吉村道明、星野勘太郎、山本小鉄、大熊元司、高千穂明久、ミツ・ヒライ

外人組
ドン・レオ・ジョナサン、ターザン・タイラー、クリス・マルコフ、ザ・コンビクト、ダッチ・サベージ、ネルソン・ロイヤル、ポール・ジョーンズ、パンピロ・フィルポ

予選リーグ 30分1本勝負

○フォール・ギブアップ勝ち 、☆リングアウト勝ち 、◇反則勝ち 、□不戦勝 ・・・ (1点)
△両者リングアウト 、▽時間切れ引き分け ・・・ (0.5点)

 

  ジョ
ナサ
タイ
ラー
マル
コフ
コン
ビク
サベ
ージ
ロイ
ヤル
ジョ
ンズ
フィ
ルポ
得点
馬場
猪木 6.5
坂口 5.5
吉村
山本
大熊 1.5
高千穂 1.5
ヒライ 2.5

 

  馬場 猪木 坂口 吉村 山本 大熊 高千
ヒラ
得点
ジョナサン 6.5
タイラー 3.5
マルコフ
コンビクト
サベージ
ロイヤル
ジョーンズ 1.5
フィルポ

 

優勝決定戦 60分3本勝負 ( 5月29日 東京・日大講堂 観衆7500人)

ジャイアント馬場( 2−1 ) ドン・レオ・ジョナサン

● 馬場 ( 体固め 25分51秒 )ジョナサン ○
○ 馬場 ( 体固め 4分18秒 ) ジョナサン ●
○ 馬場 ( 体固め 3分26秒 ) ジョナサン ●

馬場が4度目の優勝。

総評

この第12回ワールド・リーグ戦は馬場、猪木にとって正念場であった。馬場は前年度優勝を猪木に奪われた事により囁かれ始めた「限界説」を払拭すべく、対する猪木は前年の優勝が「くじ運の良さ、まぐれ」という風説を覆す為に絶対優勝はゆずれないという決意で望んだのである。

星取りレースはBIに坂口を含めた三強が無傷の快進撃を続けるが、まず馬場がマルコフと、猪木がサベージと両者リングアウトで失点0.5。一時は坂口がトップを走るが、マルコフと両リンで失点。次に猪木が因縁のマルコフに痛恨の反則負けで失点1.5となり一歩後退。その翌日に馬場はジョナサンと引き分けで失点1、坂口がサベージ相手に反則暴走で失点1.5。ロイヤル戦を残す馬場リードの中で猪木は意地を見せ、外人組首位のジョナサンにフォール勝ち。しかし願いとどかず馬場はロイヤルに順当勝ち、坂口はジョナサンに屈し日本組は馬場が決勝に進出を決めた。

さて、一方の外人組はどうかというと、こちらも最後まで予断を許さぬデッド・ヒートが続いた。開幕前はジョナサン、タイラー、マルコフの三強にコンビクトがどう絡むかが見所と思われたが、タイラーが絶不調で早々に脱落。コンビクトも若手には圧勝したが、三強には歯が立たず脱落。ここで優勝争いに加わったのが大穴のサベージだった。星取りの展開はジョナサンが猪木に負け、馬場と引き分けて失点1.5で公式戦終了。この時点でマルコフが馬場、坂口と引き分け、猪木に殊勲の反則勝ちで失点1、サベージが馬場に負け、猪木と引き分けの失点1.5で、それぞれ安全パイの高千穂、大熊との最終戦を残すのみとなった。しかしまずマルコフが明らかに格下の高千穂に反則負けで脱落、大熊に勝てばジョナサンと同点決勝のサベージも、格下の大熊に両者リングアウトに持ち込まれ脱落。結局予想通りジョナサンが決勝進出と相成ったのである。

決勝で馬場はジョナサンがドロップ・キックを自爆しロープで股間を打った所を押え込むのだが、はっきり言ってこのリーグ戦の焦点は馬場と猪木のどちらが果して勝ち上がるか?にあった為、決勝戦への関心は薄かったといわれている。決勝で自爆したジョナサンを押え込んだ馬場より、むしろ予選でジョナサンをブレンバスターで叩き付け完勝した猪木の株がやや上がったとみるのは、やや贔屓目がきつすぎるであろうか?

 

第13回ワールド・リーグ戦 昭和46年

ルール

予選は外人対日本人の対抗戦だが、この年から2回戦制となった。外人組、日本組の最高得点者で優勝決定戦を行なう。

参加選手

日本組
ジャイアント馬場、アントニオ猪木、大木金太郎、吉村道明、ミツ・ヒライ、星野勘太郎、山本小鉄、グレート小鹿、上田馬之助

外人組
ザ・デストロイヤー、アブドーラ・ザ・ブッチャー、キラー・カール・コックス、レイ・メンドーサ、マンマウンテン・マイク、ニコリ・ボルコフ(初代)、ゴードン・ネルソン、アンジェロ・モスカ、ジョー・ルダック(途中帰国)、ジョー・ターコ(途中参加)

予選リーグ 30分1本勝負

○フォール・ギブアップ勝ち 、☆リングアウト勝ち 、◇反則勝ち 、□不戦勝 ・・・ (1点)
△時間切れ引き分け ・・・ (0.5点)、▲両者リングアウト ・・・(0点)

 

  デス
ブッ
チャ
コッ
クス
メン
ドサ
マイ
ボル
コフ
ネル
ソン
モス
ルダ
ック
ター
得点
馬場 ☆△ ◇◇ ◆○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ 16.5
猪木 △○ ◇☆ ▲○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ 16.5
大木 ★☆ ▲★ ●△ ○○ ☆○ ○○ ○○ ○○ 12.5
吉村 ●▲ ●● ●☆ ○○ ◇○ ○○ ●△ ●○   ○○ 11.5
ヒライ ●● ●● ●● ○☆ ●● ○○ ●● ●●   ○○
星野 ●■ ●■ ●● ☆■ ●☆ ○■ ●■ ●■   ○■
山本 ●● ●● ●◇ ●○ ●● ○▲ ◇● ●◇   ○○
小鹿 ●● ●● ●● ◆▲ ●● ○○ ☆☆ ◇○
上田 ●● ●● ★★ ○◆ ☆○ ○○ ☆○ ◆○

馬場、猪木が同点で決勝進出

 

  馬場 猪木 大木 吉村 ヒラ
星野 山本 小鹿 上田 得点
デストロイヤー ★△ △● ☆★ ○▲ ○○ ○□ ○○ ○○ ○○ 13
ブッチャー ◆◆ ◆★ ▲☆ ○○ ○○ ○□ ○○ ○○ ○○ 13
コックス ◇● ▲● ○△ ○★ ○○ ○○ ○◆ ○○ ☆☆ 12.5
メンドーサ ●● ●● ●● ●● ●★ ★□ ○● ◇▲ ●◇
マイク ●● ●● ★● ◆● ○○ ○★ ○○ ○○ ★●
ボルコフ ●● ●● ●● ●● ●● ●□ ●▲ ●● ●●
ネルソン ●● ●● ●● ○▲ ○○ ○□ ◆○ ★★ ★●
モスカ ●● ●● ●● ○● ○○ ○□ ○◆ ◆● ◇●
ルダック        
ターコ ●● ●● ●□ ●●

ザ・デストロイヤー、アブドーラ・ザ・ブッチャーが同点で決勝進出。

優勝決定戦 時間無制限1本勝負 ( 5月19日 大阪府立体育会館)

くじ引きにより一回戦は馬場対ブッチャー、猪木対デストロイヤーの組み合わせとなる。

△ 猪木( 21分20秒 ) デストロイヤー △

○ 馬場(片エビ固め 7分21秒) ブッチャー ●

馬場が2年連続5回目の優勝

総評

この年のワールドリーグ戦からルールが一部変更。総当たりの予選は2回戦制となり、両者リングアウトは無得点となった。日本組は前年優勝の馬場とトロフィー奪回を狙う猪木のデッドヒート、外人組はデスト、ブッチャー、コックスの三つ巴となるが、コックスは土壇場で山本相手に反則で星を落とし脱落。決勝は44年の第11回大会同様、各陣営から2名が進出しての対戦となったが、ここでも日本人対決は実現しなかった。この年は馬場優勝の気運が強く、猪木の優勝を阻もうとする勢力の暗躍があった(昭和プロ・ファイル10を参照のこと)といわれている。
今回の注目はメキシコの鉄人といわれた元UNヘビー級王者のレイ・メンドーサであったが、第1戦から星野にリングアウト負けを喫するなど、大きく期待を裏切った。またニコリ・ボルコフもロートルで全敗、実力派ゴードン・ネルソンも実力を発揮せぬまま終わった。全40戦の長丁場だけあってジョー・ルダック、星野勘太郎が負傷により途中欠場、ルダックの代わりにはWWWFの中堅ジョー・ターコが急遽参加したが、これまたひどい食わせ物で黒星の山を築いた。日本側では上田、小鹿の悪党コンビに期待が集まったが、彼らも中途半端な成績に終わり、海外で積んだ実績通りの暴れっぷりは見られなかった。
また、決勝戦の行われた大阪府立体育会館控え室で猪木が馬場への挑戦を表明し、報道陣や首脳を慌てさせた。

資料提供 : 我理様

 

 

第14回ワールド・リーグ戦 昭和47年

ルール

予選は外人対日本人の対抗戦(2回戦制)。外人組、日本組の最高得点者で優勝決定戦を行なう。

参加選手

日本組
ジャイアント馬場、大木金太郎、坂口征二、吉村道明、マサ斎藤、ミツ・ヒライ、星野勘太郎、グレート小鹿、上田馬之助

外人組
ゴリラ・モンスーン、アブドーラ・ザ・ブッチャー、ディック・マードック、カリプス・ハリケーン、ホセ・ロザリオ、サルバトーレ・ロザリオ、キラー・ブルックス、マイティ・ブルータス、カナディアン・ランバージャック

予選リーグ 30分1本勝負

○フォール・ギブアップ勝ち 、☆リングアウト勝ち 、◇反則勝ち 、□不戦勝 ・・・ (1点)
△時間切れ引き分け ・・・ (0.5点)、▲両者リングアウト ・・・(0点)

 

  ゴリ
ブッ
チャ
マド
ック
ハリ
ケン
ホセ サル
バト
ブル
クス
ブル
タス
ラン
バー
得 点
馬場 ○▲ ●◇ ○○ ○○ □□ ○○ ○○ ○○ ○○ 16
坂口 ●◇ ▲◇ ○○ ◇▲ □□ ○○ ○○ ○○ ○○ 15
大木 ●☆ ☆▲ ○▲ ▲○ ▲□ ○○ ○○ ○○ ○○ 13
吉村 ●● ●● ●● ●● □□ ○○ ○○ ●○ ●☆
斎藤 ●● ●◆ ●◆ ◆▲ □□ ◇○ ○○ ▲○ ○▲
ヒライ ●● ●● ●● ●● ○□ ○▲ ○○ ◇● ●●
星野 ●● ●● ●● ●● ●● ○○ ○● ●● ●○
上田 ●● ●● ●● ●● ●□ ○○ ○● ○● ●●
小鹿 ●● ●● ●● ●● ●□ ◆◆ ◆◆ ●● ▲▲

 

  馬場 坂口 大木 吉村 斎藤 ヒラ
星野 上田 小鹿 得点
モンスーン ●▲ ○◆ ○★ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ 14
ブッチャー ○◆ ▲◆ ★▲ ○○ ○◇ ○○ ○○ ○○ ○○ 13
マードック ●● ●● ●▲ ○○ ○◇ ○○ ○○ ○○ ○○ 12
ハリケーン ●● ◆▲ ▲● ○○ ◇▲ ○○ ○○ ○○ ○○ 11
ロザリオ兄 ■■ ■■ ▲■ ■■ ■■ ●■ ○○ ○■ ○■
ロザリオ弟 ●● ●● ●● ●● ◆● ●▲ ●● ●● ◇◇
ブルックス ●● ●● ●● ●● ●● ●● ●○ ●○ ◇◇
ブルータス ●● ●● ●● ○● ▲● ◆○ ○○ ●○ ○○
ランバージャック ●● ●● ●● ○★ ●▲ ○○ ○● ○○ ▲▲

 

優勝決定戦 60分3本勝負 ( 5月12日 東京都体育館)

○ ジャイアント馬場(2−1) ゴリラ・モンスーン ●

○ モンスーン(逆エビ固め 10分58秒)馬場 ●
○ 馬場 (リングアウト 3分42秒)モンスーン ●
○ 馬場 (逆エビ固め 2分27秒) モンスーン ●

馬場が3年連続6回目の優勝

総評

日本プロレス最後のワールドリーグ戦はモンスーンをリーダーとする外人組の提案で、2万ドルを懸けて優勝者が出たほうが賞金を獲得する懸賞金制度を提案したため、ブッチャーを除く外人組は一致団結し、モンスーンの優勝をサポートした。一方の日本組は馬場を追いかける坂口に注目が集まった。外人組はブッチャーとモンスーンの競り合いとなるが、モンスーンが決勝進出。日本組は坂口が最終戦のハリケーンに勝てば決勝進出というところまで活躍したが、両者リングアウトに持ち込まれ、リング上で悔し涙を流し号泣した。
リーグ戦を全体的にみれば、番狂わせも無く順当な成績に終わっている。日本側ではミツ・ヒライが意外と健闘。外人側ではホセ・ロザリオが順調なスタートを切ったが、明日を負傷して途中帰国している。また、ロスからレッドシューズ・ドゥーガンが特別参加し花を添えた。この年の夏に馬場が日本プロを脱退、人気の下降と共に組織の力が弱まり、48年度はワールドリーグ戦も行われることなく日本プロは崩壊してしまう。

資料提供 : 我理様