吉田光雄のウィング・ブリーカー・ホールド

2002.10.4 upload
2024.11.5 remix

 

 
 
 うつ伏せの相手の腕をロックしてから、ジャックナイフの要領で前方向にブリッジする

 

 猪木の幻の3大必殺技としてアントニオ・ドライバー、スピニング・バックプリーカー、スウィング・ネックブリーカーはよく知られている。他のレスラーにもそのような技はないかと思っている時にとあるメーリングリストで吉田光雄(長州力)の羽根折り固め(ウィング・ブリーカー・ホールド)が話題になった。この技こそ、幻の必殺技といえる。というのもデビュー戦でサソリ固めというオリジナル必殺技で勝利を飾った吉田光雄が、第4回ワールドリーグ戦への凱旋第1戦とシリーズ中に2回の計3回使ったものの、その後使ったことはおそらく一度もなかった技だからである。

 なぜこの技を吉田は封印したか? 考えてみると、当研究室が「必殺技の条件、痛め技の項」に掲げている、「技をかけている、かけられているレスラーの表情がハッキリ見えること」の条件をクリアしていない。この条件をクリアしているコブラツイストで考えてみると、技をかけられた選手は苦悶の表情をうかべ、かけている選手は顔で大見得を切る。特に猪木のコブラツイストはまさに必殺技!という醍醐味があるが、この羽根折り固めはかけている長州の表情が全く見えない。かけられているロベルト・ソトの表情も観客には見えていないだろう。これでは技の痛み=凄みが全く伝わらず、観客へのアピール度は低いのである。吉田がこの技を捨て、サソリ固め1本に絞ったのは正解といえるだろう。

 そして気になるのが、この技はどうやってかけるのか? ということであるが、うつ伏せにダウンした相手の両腕を羽交い絞めにして、ジャックナイフに固めるように頭を支点にしてブリッジするのである。この技への入り方も痛め技としてはいささか迫力不足だったといえよう。まさに「人に歴史あり」を思わせる一夜限りの必殺技である。

 

2日前に鶴見が似たよな技を・・・。

 

 ワールドリーグの開幕戦で吉田が羽根折り固めを披露したのはは3月4日だったが、わずか2日前の国際プロレスの新津市大会で鶴見五郎がグレート草津とのワールドシリーズ公式戦に出たような技を使っているのである。

 さて、ここからは筆者の邪推。実は新日本プロレスのレスラーは3月3日に新潟の毘沙門堂押合大祭に招かれていた。新日本プロレスの面々はおそらく前乗り込みで2日には新潟に入っていたと思われる。だとすれば吉田が新津まで足を伸ばし遠征先のモントリオールでコンビを結成していた八木(剛竜馬)の陣中見舞いに訪れたということは十分考えられる。そこで鶴見の技にヒントを得て、羽根折り固めを考案したということもない話ではないと思うのだが・・・。これはあくまでも筆者の邪推なので、読み流していただきたい。

PS:吉田はシリーズ前の公開練習でこの技を披露し、それがワールドプロレスリングの番組中で放映されていたとの情報が寄せられました。つまり、パクったのは鶴見のほうだったという疑惑が出てきたのであります・・・。

この項情報提供 : どら様、Y様