スタン・ハンセンのウェスタン・ラリアート

2003.6.18 update

 

伝説の田園コロシアム大会でアンドレに炸裂したラリアート!

  

   
ストロング小林は真正面から受けていた一人   猪木の受身は豪快だった   後頭部をおさえて半失神の猪木

 

 以前にも書いたが「必殺技」というのはその名のとおり「一撃必殺」でなければならない。いまの日本のプロレス界には「得意技」は存在するが、「必殺技」は消えてしまったといってよいだろう。そして現在多くのレスラーが得意技としているのがウエスタン・ラリアートである。いわゆる「猫も杓子も」状態で、いささかげんなりしてしまう。

 この技はいた目わざとしてかなり古くから使われていたようだが、「必殺技」として確立させたのはご存知のとおりスタン・ハンセンである。全日本プロレスに初来日した頃にはこの技は使っていなかったが、新日本プロレスに移籍した時に、MSGでブルーノ・サンマルチノの首をへし折った必殺技ということで大きくクローズアップされた。当時、新日本のエースは猪木、坂口、小林の3人。猪木は「今風に」後ろに倒れこむ豪快な受身を見せたが、小林、坂口はラリアートを正面から胸で受け止めて腰から崩れ落ちるように倒れていた。つまりほとんど技の衝撃を軽くする為の受身を取っていなかった。いまだに印象に残っているのはラリアートが炸裂した時の「バチーッ!」という鈍い音である。あれほど衝撃音の出る打撃技というのは少なかったので非常に衝撃的であった。

 当時のラリアートは一撃必殺で、上記の写真にあるように猪木も一発食らっただけで半失神状態ということもあったし、坂口が口から血を吹くということもあった。たしかにウェスタン・ラリアートは必殺技であった。しかし長州のリキ・ラリアートをはじめとする「亜流」の出現により、「本家」のウェスタン・ラリアートの神通力もうせていってしまったのである。特定のレスラーの必殺技を多くのレスラーが使い始め「得意技」になってしまった時に「必殺技」は死ぬ。特定のレスラーの必殺技をコピーするということはあまりほめられたものではない。プロレスラーたるもの「プライド」を持ってオリジナル技の開発にいそしんでほしいものだ。それがまたファンの関心を呼ぶことにもなるのだから。