マイティ井上のストマック・ブロック

2002.11.13updated

 

 

48年ごろ井上が得意にしていた殺人技!

 

 日本プロレスから馬場、猪木が独立し四団体時代を向かえ、日本のマット界が戦国時代に突入した昭和44年に国際プロレスの名物カードとして人気を呼んだのが、マイティ井上VS寺西勇である。この一戦は全日本プロレス「ジャイアント・シリーズ結集戦」へのゲスト参加で実現し好評を得て、3月に国際プロレスのマットでもマッチメイクされた。この試合は45分3本勝負で行われたが、45分では決着がつかず、10分延長。それでも決着がつかずに10分の再延長、そしてようやく7分7秒に井上が半回転エビ固め(ジャックナイフ・ホールド)で寺西を丸め込むという死闘となった。この試合で粘る寺西のスタミナを一気に奪ったのがストマック・ブロックであった。写真ではシュミット式バックブリーカーのように見えるが、背骨ではなく相手の胃袋を膝に打ち付けるという荒業である。これを食ったら息ができなくなり、大幅にスタミナをロスしてしまうというおそろしい技だ。当然この技は大型選手が使えば迫力を増すが、小型のマイティ井上があえて使ったところに、井上のこの技へのこだわりが伺える。

 

   
ロシモフはハイアングル!  

スローター相手をうつ伏せに抱えあげていた。

  リップ・タイラーのストマック・ブロック

 

 おそらく井上はモンスター・ロシモフが使ったこの技を見てコピーしたのではないだろうか?ロシモフの場合は相手をリフトアップしてから膝に叩きつけるというやり方であった。これはハミングバードから発売されているビデオでも見れるが、瞬間戦慄が走るほどの強烈な技である。ここでも被害者は寺西であった。しかし寺西も国際プロレスが崩壊し、新日本プロレスに登場した際に初代タイガーマスクにこの技を炸裂させている。アメリカ修行中の猪木がスナイダーに散々悩まされたコブラツイストを自分の物にしたように、寺西もこの技の被害に合い、その威力を思い知ったからこそタイガーとの大舞台でこの技を出したのであろう。必殺技というのはこのようにして伝承されてゆくものかもしれない。