マイティ井上のストマック・ブロック

2002.11.13 upload
2024.11.28 remix
2024.12.28 remix

 

     

相手を肩に担ぎあげ…

   頭越しに持ち上げてジャンプしながら…   相手の腹を膝にたたきつける!

 

             

相手の腕をつかんで腕を股に入れ

  相手を一気に担ぎあげ…   持ち上げて急降下    膝に腹を打ち付ける   恨めしそうに井上をにらむ鶴見(笑) 

  

 日本プロレスから馬場、猪木が独立し四団体時代を向かえ、日本のマット界が戦国時代に突入した昭和48年に国際プロレスの名物カードとして人気を呼んだのが、マイティ井上VS寺西勇のテクニシャン対決である。

 この一戦は全日本プロレス「ジャイアント・シリーズ結集戦」へのゲスト参加で実現し好評を得て、3月に国際プロレスのマットでもマッチメイクされた。この試合は45分3本勝負で行われたが、45分では決着がつかず、10分延長。それでも決着がつかずに10分の再延長、そしてようやく7分7秒に井上が半回転エビ固め(ジャックナイフ・ホールド)で寺西を丸め込むという死闘となった。

 この試合で粘る寺西のスタミナを一気に奪ったのがストマック・ブロック(別名ストマック・クラッシャー)であった。写真ではシュミット式バックブリーカーのように見えるが、背骨ではなく相手の胃袋を膝に打ち付けるという荒業である。これを食ったら息ができなくなり、大幅にスタミナをロスしてしまうというおそろしい技だ。当然この技は大型選手が使えば迫力を増すが、小型のマイティ井上があえて使ったところに、井上のこの技へのこだわりが伺える。

 

   
ロシモフは超ハイアングル!  

スローター相手をうつ伏せにして抱えあげ、膝に落としていた

  寺西勇の豪快なストマック・ブロック

 

 おそらく井上はモンスター・ロシモフが使ったこの技を見てコピーしたと思われる。ロシモフの場合は相手をリフトアップしてから膝に叩きつけるというやり方であった。これはハミングバードから発売されているビデオでも見れるが、瞬間戦慄が走るほどの強烈な技である。ここでも被害者は寺西であった。

 しかし寺西も国際プロレスが崩壊し、新日本プロレスに登場した際に初代タイガーマスクにこの技を炸裂させている。アメリカ修行中の猪木がスナイダーに散々悩まされたコブラツイストを自分の物にしたように、寺西もこの技の被害に合い、その威力を思い知ったからこそタイガーとの大舞台でこの技を出したのであろう。必殺技というのはこのようにして伝承されてゆくものかもしれない。

2024.11.17にマイティ井上さんが逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。