ダニー・リンチのスタンディング・クラッチ

2002.7.1 upload
2024.11.30 remix

痛さが伝わる拷問技!

 

 英国の流血王といわれたダニー・リンチは、そのニックネーム方もわかるように毎試合流血の狂乱ファイトが売り物で、そのために英国マットを追われ、欧州を放浪したクレイジー・ファイターであった。

 しかしそのリンチが「さすが英国出身レスラー」という、テクニシャン(?)の片鱗を見せた技が、このスタンディング・クラッチである。見てのとおり相手の首と脚、背骨のキシむ音が聞こえてきそうな拷問技である。この技で草津はギブアップ。ファンを驚かせる。ただ暴れまくるだけではなく、しっかりとした基礎を持った悪党・・・こういうのがゴロゴロいたからこそ、昭和のプロレスはおくが深いのだと思い知らされる貴重なショットである。

 しかし、こういうプロレス的にも見栄えのするサブミッション・ホールドは完全に絶滅してしまった・・・。

 

 

   

日本でこの技を初公開したゴッチ

 

ジェシー・ジェイムスもフィニッシュに使っていた

 

マスカラスは脚をクロスさせた変型スタンディング・クラッチを披露

 

 この技を日本で初公開したのは昭和44年当時、日本プロレスのコーチとして来日していたカール・ゴッチ。昭和44年1月3日にミスター・ヒトの安達勝治とのエキジビション・マッチでフィニッシュに使っている。ゴッチはリンチとは違い、自分の足の内側に相手の足を引き上げている。リンチの場合は自分の足の外側に引き上げている。リンチは相手の脚を内側に絞り、ひざと使って脚を攻めることも考えていたのだろうか? 写真だけではなんともいえない。

 新日本プロレスの旗揚げ第2弾シリーズにゴッチのブッキングで来日したジェシー・ジェイムスもこの技で魁をギブアップさせている。やはりこういったホールドを使いこなせるレスラーをゴッチは好きだったのだろうか? いくら基礎ができていても、客を呼べるバリューがなければいけないということを、頑固者のゴッチは気づかなかったようだ。

 複合技の本場メキシコ出身のミル・マスカラスもこの技をさらに複雑にしたものを使っていた。当時のゴングの必殺技名鑑には「メキシカンボストンクラブ(メキシコ式エビ固め)」と紹介されている。被害者は上田馬之助。腰を落とすことでフォールをも狙える技にアレンジしている。

 また、この技の意外な使い手がアレックス・スミルノフ。狂乱ファイトを繰り返していたスミルノフがこの技を使っていたというあたりはリンチと共通していて面白い。