バーン・ガニアとマーク・ルーインのスリーパーホールド

2002.1.2 upload
2024.12.14 remix

     

ガニア初来日時のショット。このスリーパーで小林は失神

  相手の身体を弓なりにさせて締め上げる   これはチョークのように見えるのだが…

 

 
相手に尻もちをつかせて 体重を前にかけて極める

 

 
馬場を締め上げるルーイン マツダをスリーパーホールドにとらえて振りまわす!

 

 スリーパーホールド=裸締めという技は柔道の技であることもあり、日本人には非常になじみが深い。しかしながら日本のリングで日本人レスラーでこの技をフィニッシュの使うレスラーは出てこなかった(海外遠征中の日本人はフィニッシュに使っていたが・・・)。というのもこの技にはバーン・ガニアとマーク・ルーインという二人の偉大な使い手がいたからに他ならない。

 まず、昭和45年にAWAの帝王バーン・ガニアが初来日。ガニアのスリーパーは相手の背後から飛びつき、身体を後ろに弓なりにさせて引き倒すスタイルであった。しかし上の写真を見ればわかるようにかなりチョークすれすれのスリーパーホールドである。この技は相手を失神させるという陰湿なイメージがあるのでヒール向きと思われるが、ベビーフェイスのガニアはドロップキック、バックドロップとともにこの技をフィニッシュに多用した…というか、ガニアの代名詞になっている。

 さて、もう一人の使い手マーク・ルーインは昭和48年に初来日。この年から開催された「チャンピオン・カーニバル」の目玉選手として待望の初来日を果たし、得意のスリーパーホールドで連戦連勝を重ねた。来日前の評判では世界王者候補の正統派として紹介され、ファンも大いに期待していたが、実際のルーインは石灰をまき散らすわ、コーナーの金具をゆるめてロープをグラグラにするわの反則野郎で、少年時代の存英雄氏は大いに失望したという。しかし、ハンサムな悪党のルーインにはこの陰惨な技はぴったりのフィニッシュ・ホールドであった。またルーインは失神させた相手にご丁寧に活を入れて蘇生させるというギミックも使っていたことを付け加えておく。

 今でも使いようによってはスリーパーホールドは十分陰惨なヒール向けのフィニッシュ・ホールドとして通用すると思うのだが・・・。

2024.12.14追記
2002年のオリジナル原稿では日本人でスリーパーホールドをフィニッシュにしたレスラーはいないと書いているが、アントニオ猪木が引退カウントダウンの頃に「魔性のスリーパーホールド」と称してチョーク・スリーパーをフィニッシュに使うようになった。