類似技研究その3 〜 サンセット・フリップ

2001.2.9update

 

好評の類似技研究第3弾は、掲示板に寄せられた熱いリクエストにお答えして「サンセットフリップ」の登場です。ご存知のようのこの技の元祖は、エドワード・カーペンティアといわれており、彼の場合はサマーソルト・ドロップと呼ばれていた。元体操選手だったカーペンティアがその身軽さをプロレスに取り込んで成功した技である。ダウンした相手の上で大きくジャンプしながら1回転し、そのまま落下するというものである。同じ体落しでもボディブレスと比べ、回転することにより勢いが付き、技の威力が増すという効果があり、見た目にも華やかであり、新時代のプロレス技と呼ばれたのもうなずける。カーペンティアはこの技とサマーソルトキックでスターダムにのし上がったのである。

 

     
             
初来日時のサマーソルトドロップ   肩口あたりから落ちている   井上は回転する前のアクションごよい   井上の場合は背中から落ちている

 

日本にもこの技の使い手がいた。皆さんお待ちかねの和製カーペンティアことマイティ井上である。井上が使うとこの技はサンセット・フリップと呼ばれた。しかしよーく見るとカーペンティアのそれとは違うのである。カーペンティアは相手の左側から回転するのに対し、井上の場合は右側から回転しているのであった!それに加え井上の場合、ジャンプする前に数回ステップしながら腕を回すような独特のアクションがあったが、これは上手く文章では表わせない。井上はこの技を2,3回連発しフォールに繋げていた。

 

    では、最初にこの「回転体落し」を公開したのは誰か?ということになるが、外人ではおそらく44年に来日したブラック・ゴールドマン(写真左)であろうと思われる。彼の場合相手の頭側から平行にに身体を落としている。ご覧のとおり肩口から落ちているので、それ程高くジャンプして回転していた訳ではなかったようである。この技はバック・ワード・ダイブと呼ばれた。体落しというよりも、相手の身体の上ででんぐりかえる程度だったのかもしれない。他にこの技の使い手としてはチャボ・ゲレロが上げられる。彼の場合、相手をヒップアタックでダウンさせ走り込んで回転するというパターンであった。残念ながら写真が無い。他にビクター・リベラ(写真右)、ドン・レオ・ジョナサンも、この技の名手であり、だるまのような身体のオットー・ワンツもスチーム・ローラーなる名前でこの技をフィニッシュに使っていた。

 

さてこのサンセット・フリップの類似技として有名なのがメキシカンが多用するセントーンである。この技はサンセットフリップとは逆に足から半回転し背中から落ちるものである。この技を最初に公開したのはペドロ・モラレスでしかもトップロープからのダイビング・セントーンであった。しかしこの時はセントーンという呼び名も紹介されておらず、ヒップ・ボムズ・アウェーというネーミングで雑誌には紹介されていた。モラレスはNWF選手権試合でこの技を出したが自爆している。一方この技を見事に決めてみせたのは、WWFライトヘビー級王座決定戦でのペロ・アグアーヨであった。      

 

54年に2度目の来日を果たしたカネックが初公開した、トップロープから回転し相手のボディーにヘッドバットをかますというこの大胆な技もサンセットフリップの改良技と呼んでも良かろう。メキシコではトペ・アトミコとよばれ、エル・サント父子が得意としている。時折ジプシー・ジョーもトップロープからサンセット・フリップを狙っていたが、命中したのを見たことがない。このサンセット・フリップという花のある技も、21世紀の日本マット界ではほとんど見ることが出来なくなってしまっているのは、非常に残念なことである。