トニー・ロコのサーフライダー・スペシャル(ロメロ・スペシャル)

2002.4.6 update

 

 

ヅブル・レッグ・ロックにとらえ、さらに両腕をつかんで
後方に倒れながら相手を吊上げる。

  見事に決まったサーフライダー・スペシャル!

 

 メキシコには見た目に複雑な関節技の複合技が非常に多い。その中でも有名なのがリト・ロメロが考案したロメロ・スペシャル(吊天井)である。(昭和時代にはラウル・ロメロが考案したと言われていたがこれは間違いだったようである)プロレス名鑑や雑誌などで決まった形は知っていたが、どのようにこういう吊天井の形にもっていくのか、という疑問が常にあった。その疑問を晴らしてくれたのが、トニー・ロコであった。ロコは60年代後半にロスに登場しアメリカス・タッグを獲得しその後は全米を転々としたレスラーで、決して一流とはいえなかったが、そのガッツあるファイトぶりは眼を引くものがあった。

 そのロコの得意技がサーフライダー・スペシャルであった。恐らく相手を持ち上げるまでの格好がサーフィンで波に乗っている姿に似ているため、ロスのファンがそう名づけたのであろう。ロコはこの技を多用したが、残念ながら相手をギブアップさせた記憶はない。しかし試合を盛り上げるには効果的な技であった。というのもこの技は非常に難易度が高く、相当なバランス感覚の持ち主でないと使いこなせないというのをファンは知っていたからだ。それを高い成功率で使っていたトニー・ロコは知名度は低いが名選手であったといえるだろう。

 

   
31年の来日時の公開練習でロメロ・
スペシャルを披露sしたラウル・ロメロ。
  ペーロ・アグアヨのロメロ・スペシャルは脚の決め方も独特。腕を決めず
に顎を決めているてんもユニーク。
  アメリカでは持ち上げずにゆする
だけの技もあった

 

   
メキシコの帝王カネックも使いこなした。   チャボ・ゲレロも使い手の一人。   マスカラスが多用したロバース・ロメロ。

 

 この技の元祖はその名称からもわかるようにルチャの仙人といわれたラウル・ロメロである。彼は昭和31年に木村政彦の国際プロレス団の招きでメキシコ・ジュニアヘビー級(メキシコにジュニアヘビー級という階級はなかったが・・・)王者として来日し、公開練習で早くもロメロ・スペシャルを公開している。しかし試合でこの技を使ったという記録は今のところない。ロメロのほかにもメキシカンの使い手は非常に多かったが、イギリスのスチーブ・ライトがタイガーマスクにロメロ・スペシャルを決めていたが、これは彼がメキシコに遠征した際に体得したものであろう。

 またサーダラ・シンバーン・ガニアやワフー・マクダニエルらがロメロスペシャルと同じく足をダブルレッグロックに組めて腕を取る技が使っていた。ただし彼らの場合は吊天井のように持ち上げることはなく、腕を引っ張り相手をゆすって痛めつけるというスタイルでインディアン・バックブリーカーと呼ばれた。

 さて、この技のリバース技として知られているのが、ミル・マスカラスが多用したリバース・ロメロ・スペシャルである。相手をうつぶせに吊上げるのだが、いったいどこがどう痛いのか?疑問が残る技であった。しかしながら田園コロシアムでジャンボ鶴田の巨体を吊上げたのはなかなかの名場面であった。