パット・オコーナーのオコーナーズ・ロールアップ(後方回転エビ固め)

2002.10.1 upload
2024.11.5 remix

 

これこそまさに名人芸!

 

 今年の春頃から当研究室の掲示板は、熱心な昭和プロレスファンの皆さんが殺到、1日見ないと浦島太郎状態になるという大盛況だ。中でもファンの皆さんが熱い議論を繰り広げておられるのは、はやり必殺技に関する話題である。その議論の中で「必殺は決まるまでのつなぎ、プロセスが重要だ!」とおっしゃる向きは多い。そこで今回は、後方回転エビ固めについて書いてみたい。

 後方回転エビ固め=ローリング・バック・クラッチは相手のバックを取って、ロープに押し付けロープの反動を利用して後方に丸め込むという技である。日本ではマイティ井上が得意にしていた。

 しかしなんといってもこの技の名人は元NWA世界ヘビー級選手権者のパット・オコーナーであるという意見は多い。この技はオコーナーが使うと「オコーナーズ・ロールアップ」と呼ばれていたそうだ。このオコーナーの後方回転エビ固めに持ち込むまでのプロセスはまさに名人芸というほかにない。

 以下、バディ・ロジャース戦とジャイアント馬場戦の連続写真をご覧頂こう。

 

   

ロジャースがオコーナーにタックル

  倒れるオコーナー   ロジャースは二発目を狙ってロープへ
   
 立ち上がると同時に身をかわしバックを取る   ロープに押し付けて・・・     いっきに丸め込む!

     
     
    

 

 この流れるような動きはまさに名人芸。彼は晩年までこのオコーナーズ・ロールアップをフィニッシュにしていた。日本ではジャイアント馬場を丸め込んだのを筆頭に、吉村道明、高千穂明久というテクニシャンタイプのレスラーを見事に丸め込んでいる。

 彼のファイトを良く知るファンはオコーナーがタックルで倒される度に「出るか、出るか!?」と身を乗り出したに違いない。2〜3度はぐらかされて、オコーナーが跳ね上がって相手のバックを取った瞬間にファンは思わず立ち上がるのである。ファンの身を乗り出させる見せ場を持っているということも超一流レスラーの条件だといえよう。

 

       
ロープに押し付け腰に抱き着き  

ロープの反動で後方に回転!

  半回転して立ち上がり…    ブリッジして押さえ込む

 

 日本ではマイティ井上が後方回転エビ固めの使い手であった。井上の場合は相手を丸め込んだ後に、さらにブリッジをくわえて見栄えをよくする技にブラッシュアップしていた。ここではIWA世界ヘビー級王座初防衛戦(レイ・スティーブンス戦)でみせた後方回転エビ固めの連続写真を掲載しておく。

 極まった形が同じなので、ジャパニーズ・レッグロール・クラッチ(回転足折り固め)と混同されがちだが、技の入り方が全く違う別の技である。