パット・ローチの変形スープレックス

2002.10.11 update

 

 
タイミングで投げる見事な技だ。

 

 先日、掲示板の常連カール・クラウザー氏がこのような書き込みをされていた。

「ヨーロッパの名もないような別のレスラーで右手と相手の左手で手四つになった時相手の左肘に手をあて、そのままブリッジして簡単になげてしまうスープレックスもあり、当時はヨーロッパの投げ技は凄いとおもっておりました。」

 これを呼んで一枚の写真が私の頭に浮かんだ。私は資料室(笑)に行き、47年度の雑誌をめくった。確かクラウザーさんが記憶しているスープレックスの写真を掲載したグラビアがあったはずだ。そしてついに発見。この奇妙なスープレックスを使っていたのは、ミッドランドの大砲と呼ばれたパット・ローチであった。

 キャプションを見ると「ミッドランドの大砲なるニックネームがあるパット・ローチの豪快な変形スープレックスはハロルド坂田を飛ばす。」とある。やはりこの技には名前が付いていなかったようだ。この技はフィニッシュ・ホールドと言うわけではなかったのであろうか、当時のプロレス記者もこの技の名前を確認することはなかったのだろう。しかし、相手の身体をホールドすることなく、豪快に後方に投げてしまうなんて、クラウザーさんの言うとおりヨーロッパのレスラーは凄い技を持っている。こういった新鮮な驚きが多かったのが昭和のプロレスの魅力であったのだとつくづく思うのである。こういう名もなき技やそれを使ったレスラーがが忘れられない様にすることが、当研究室の使命であり、存在価値であると私は思っている。