ビル・ロビンソンのワンハンド・バックブリーカー

2002.2.24update

 

 
     
サイドからのショット。被害者はミスター・ヒト。   50年ガニアとのAWA戦で炸裂したワンハンド。

 

 ビル・ロビンソンは日本に多くのヨーロッパ流のテクニックを公開した点で、昭和プロレス史にその名を刻む功労者であるが、中でも彼の2大必殺技といえば代名詞でもある人間風車〜ダブルアーム・スープレックスと、ワンハンド・バックブリーカーである。ともにフィニッシュ・ホールドとして使ったわけだが、今回は現在絶滅寸前のワンハンド・バックブリーカーを紹介しよう。

 この技は仕掛けるタイミングが非常に難しく、マスターするにはかなりの熟練を要する。バックドロップに行くように持ち上げ、後方へは投げず、前方に落とすわけだが、この持ち上げてからひざへぶつけるために落とすタイミングが非常に難しい。タイミングのほかにパワーも必要とされる。ロビンソンの場合、この技をジャイアント馬場、アブドーラ・ザ・ブッチャーというスーパーヘビー級の相手にも難なく決めていた。(ブッチャーに見舞った時、ひざを負傷したこともあるが)後に藤波もドラゴンバックブリーカーと称して使っていたが、ロビンソンのようなパワフルさにかけていたように思う。

 日本では猪木とのNWF世界選手権試合で見せた一発が強烈に印象に残る。フォールには結びつかなかったものの、猪木の動きがこの一発を受けて以降明らかに鈍った。柔軟な身体で定評のある猪木にダメージを与えたのだからこの技の威力は相当なものと考えてよかろう。

 

       
ヘッドロックに来たところを
持ち上げる。
  このままバックドロップへ
切り替えも可能。
 

落とすタイミングが絶妙。

  ロビンソンの両足が浮いて
いるところに注目。
  相手に与えるダメージは
すさまじい。

 

 。ロビンソンのほかに、ペドロ・モラレスがペドロ・ドロップとかペドロ・スペシャルと称して使用していたが、モラレスもレスリングセンスは抜群であった。しかし、こういう職人芸的技が見られなくなってしまうのは非常に寂しいことである。見た目にも派手で、威力もありフィニッシュホールドとしても十分現在のプロレスでも通用すると思われるが、やはり使いこなせるセンスを備えたレスラーがいないのが現状といえよう

 

猪木を悶絶させたペドロドロップ。