ベーポ・モンゴルのモンゴリアン・ベアハッグ

2002.9.17 update

 

 
ベポ(ニコリ・ボルコフ)は鶴田を片腕で持ち上げた怪力野郎。

 

 ギブアップまでもっていくことは滅多になかったが、独特の変形技を使うレスラーは多い。1960年代後半にニューヨークに登場したザ・モンゴルズが得意にしていたモンゴリアン・ベアハッグ(筆者がかってに命名。当時は変形ベアハッグと呼ばれた)もそんな変形技のひとつだ。相手をベアハッグに捕らえ、ギブアップしないと見るや写真のような体勢で相手を宙ぶらりんにぶら下げるというもの。このままエビ固めの体制に持っていくこともあった。写真のベーポ(2代目ニコリ・ボルコフ)だけでなく、リーダーのジート、ベーポの後釜であるボロ(マスクド・スーパースター)もこの技を使ったが、少なくともテレビ中継ではこの技がフィニッシュになったことはなかった。相手を痛めつけるなら通常のベアハッグのほうが効果的なはず。このモンゴル式は自分の腕力を誇示するためのデモンストレーション技だったような気がする。

 

 
     

この技を使ったために正体がばれた。

 

メキシコの帝王カネックも良く使った。

 

 正体を隠しているマスクマンがうっかりと素顔時代に使っていた技を出して正体がばれるということはよくある。ザ・コブラも独特のモーションのキックを出しそうになり、蹴らずに辞めたことがあったが、あれは誰がどう見てもジョージ高野独特のモーションであった。52年の新日本プロレス第4回ワールド・リーグ戦に参加したマスクド・スーパースターもそんな一人だ。来日前はチャック・オコーナー(ビッグ・ジョン・スタッド=後にマスクド・スーパースター2号となる)がその正体の最右翼といわれたが、スーパースターは開幕戦でこのモンゴル式ベアハッグを使ってしまい、ボロ・モンゴルの変身だとばれてしまった。ファイトスタイルが全く変わっていただけにこの技を使わなければ、ボロ・モンゴルの変身だったと言うことは、結構ばれなかったような気がする。 カネックもこのモンゴル式を使っていたが、これも腕力を誇示するためのパフォーマンス的に使っていた。力がいる割にはあまり効き目がファンに伝わらないコストパフォーマンス(?)の低い技だといえよう。