キラー・カール・コックスの元祖ブレーンバスター
2001.6.22 upload
2024.11.3 remix
2024.11.16 update
タイツをつかんで一気に持ち上げる | コックス曰く「右手のグリップが重要」 |
タイツをつかんで一気に持ち上げる | 相手が垂直に制止するのを待つ | 手を相手の胸にあてがい倒れ込む | 腰から落とし相手の脳天をキャンバスに叩きつける |
昭和プロレスの定番技と言ってもいいこのブレーンバスターだが、本来はその名のとおりに、相手の脳天を破壊する技であり、そのオリジナルはキラー・カール・コックスであるといわれている。日本ではコックスのブレーンバスターは垂直落下式と呼ばれた。 そして、一般的に使われた相手を背中から落とすブレーンバスターの元祖はカリプス・ハリケーンであると言うのが定説だが、実際はこの技はコックスとハリケーンが共同開発し、垂直落下式は危険ということで、ハリケーンは相手を背中から落とすスタイルをつかったが、コックスは危険な垂直落下式を愛用したのだ・・・という説も専門誌で読んだことがあるが、これは怪しい。 よく猪木が東京プロレス時代にアントニオ・ドライバーの名称でつかっていたフロントネック・チャンスリー・ドロップがこの技の起源と言われるが、「あの技は参考にならなかった」とコックスは「別冊ゴング」昭和58年3月号掲載のインタビューで語っている。 |
コックスの後継者はマードック* |
マードックは左手でリフト | 完全に垂直にしておいて | 尻餅を付くように倒れ込む |
レイスの腰の安定感は抜群* | 坂口は腰が不安定 |
連続写真では脳天ではなく、後頭部をにダメージを与えるように相手の身体をやや後方に倒しているが、脳天を狙う場合はタイツをつかんだまま倒れ込んでいたようだ。筆者は残念ながらコックスのオリジナル・ブレーンバスターを見たことがない。これは筆者のプロレス研究における大きなロスト・ポイントでもあると思っている。 このスタイルはディック・マードックが見事に継承した。マードックは仕掛ける前に「ブレンバスター!」と観客に宣言してからこの技を見舞っていた昭和。51年12月に日本でコックスとマードックによるブレーンバスター合戦が行われた。それは壮絶な試合だったそうで、この試合はコックスのマードックへのブレンバスター継承式であったとも言われている。 (2024年追記:執筆後、コックスのブレーンバスターは映像で確認) 坂口征二も一時期使っていたようだが封印している。ハーリー・レイスのブレーンバスターはアメリカでは「バーティカル(垂直)・スープレックス」と呼ばれ垂直落下式に近いスタイルであった。 コックス直伝の元祖垂直落下式スタイルはマードックの死によって、完全に後継者が途絶えてしまったことは非常に残念。 |
ハリケーンの下半身の安定感に注目 | タイラーも元祖と言われているが不安定 | ラッシャー木村の安定感は抜群 | ブッチャーは新日プロ移籍第1戦で初公開 |
さて、カリプス・ハリケーンを元祖とする「普及版(バックフリップ型とも言われる)」のブレーン・バスターだが、なによりもこの技の威力を増すのは、腰からしたの安定感そいわれるが、ハリケーの写真を見て頂ければわかるが、両者ともにマットに根が生えたような安定感を持つ。 この普及版ブレーンバスターはターザン・タイラーが元祖という説もある。しかし写真を見るとハリケーンのような安定感はない。 日本人で一番の使い手は意外と思われるかもしれないが、国際プロレス時代のラッシャー木村だろう。彼も下半身の安定感は良く、この技をフィニッシュに多用していた。 アブドーラ・ザ・ブッチャーは、新日本プロレス移籍第1戦でブレーンバスターを初公開。これは新日本プロレスのストロングスタイルに対応するというアピールだと当時話題になった。 猪木もこの技を多用したが、下半身の安定感を欠き、横に投げ捨てるようなスタイルをとっていたが、これは不格好であった。 マスカラスはボディスラムに行くような要領で相手を抱えて持ち上げ、後ろに放り投げるようなブレーンバスターをみせた。 ブレーンバスターはその後、ダイナマイト・キッドの高速式や、スコット・アーウィンが元祖の雪崩式ブレーンバスターなどに発展していくが、この技をフィニッシュに使うレスラーは皆無となってしまったのは、非常に残念なことである。 *印 写真提供:HARU一番様 |
猪木のブレーンバスターはやや不安定感があった | マスカラスは放り投げるようなスタイル | 阿修羅原が公開した雪崩式 |