ルーク・ブラウンのケンタッキアン・バックブリーカー

2002.9.19 update

 

 

 人間マフラーならぬ人間リュックサック?

 

 必殺技が必殺技足りえる必要な条件のひとつに「見た目のインパクト」があるということはこれまでにもかいてきた。ある日、月刊プロレスが昭和50年に出版した「秘蔵写真でつづる日本のプロレス」という豪華本を見ていると、なんとも奇妙なスタイルのバックブリーカーが目に飛び込んできた。その技を使っているのはザ・ケンタッキアンズのルーク・ブラウン。技をかけられているのはマンモス鈴木。残忍な笑いを浮かべるブラウンの表情はなんともフォトジェニックである。それ以上にブラウンの背中でぐったりしているマンモスも手足の表情もすばらしい。その効き目は相手をさらに弓なりにできるアルゼンチン式やメキシコ式には劣るだろうが、見た目のインパクトはケンタッキー式のほうが強烈だ。

 筆者の認識ではルーク・ブラウンというのは「でくの坊」というイメージがあったのだが、この写真を見てブラウンという選手を見直した。この写真は東京プロレスと国際プロレスの合同シリーズでのもので、ある意味彼他の全盛時代のものだったと思う。2メートル近いマンモスをいとも簡単に持ち上げる怪力が凄いのはもちろんだが、205センチの身長を生かした必殺技を持っていたということは、このブラウンという男は単なる「でくの坊」ということではなさそうだ。この被害者がマンモスではなく、ジャイアント馬場だったら彼は日本プロレス史に名を残していたに違いない。まだまだこのような失われた必殺技は多いと思う。これからもこうした忘れられた必殺技を発掘していきたい。