ラッシャー木村の十字チョップ

2024.12.9 upload

 

   
正面から叩き込むのが効果的か?*   テリー・ファンクも吹っ飛ばす!*   ややサイドから猪木の首筋にぶち込む!* 

 

 「よーし、よし、よし!」という声を発しながら、相手をロープに振り戻ってきたところに、十字に組んだ腕を相手の喉元に叩き込む。ラッシャー木村が得意とした十字チョップ(クロス・チョップ)である。これがフィニッシュになった記憶はないが、フィニッシュに持ち込む前の痛め技として効果的に使っていた。チョップを叩き込む前に足をバタバタさせるのも愛嬌があった!

 

日本で初公開したシャチ横内

 

 この技を日本で初公開したのは、シャチ横内だったと思われる。愛知県出身の横内は、高校卒業後にブラジルに渡り事業をはじめるが挫折し、清美川に弟子入りしてレスラーになったと言われている。昭和44年、国際プロレスの「ロイヤル・シリーズ」に凱旋帰国。当初は日本側についてリングに上がったが、途中から外人側に寝返るというヒール・ターンを行いファンの憎悪を買った。その横内の必殺技が十字チョップであった。

 横内はこの技を師匠の清美川から受け継いだ。清美川が海外遠征前からこの技を使っていたのか、海外に出てから編み出したのかはよくわかっていない。清美川はメキシコ遠征中にミル・マスカラスに十字チョップを教え、マスカラスがフライング・クロス・チョップにアレンジしたというエピソードもある。残念ながら清美川がこの技を使っている写真は発見できなかった。清美川の十字チョップは、クロスして両手で相手の首を挟んで押し倒す技だったという証言もある。

 もう一人、十字チョップを得意にしたのが日本プロレス時代の上田馬之助であった。海外遠征から帰国した時の上田の必殺技が十字チョップであった。これはカンサスでコンビを組んだシャチ横内から盗んだものであろう。ラッシャー木村もカンサスでシャチ横内からこの技を盗みとったと思われる。

 外人レスラーではマスクド・スーパースターが使っていた。スーパースターの場合、フィニッシュ技ではなく、大技のつなぎとして使っていた。スパースターは元々ボロ・モンゴル名義でモンゴル人と称していたから、オリエンタル風な技としてこの技を使っていたのだろうか…?

*印写真提供:HARU一番様