豊登の逆片エビ固め

2002.10.15 update
2002.10.24改訂

 

 
     
ものすごい足の筋肉に注目!(国際時代)  

これは新日本時代の逆エビ固め。

 

 
     

ワルドーの膝を抜いたと言う、
力道山の逆片エビ固め。

  馬場はアキレス腱を締め上げている。

 

 
     
坂口もど迫力!   ロビンソン戦でカネックが見せた逆片エビ。これはきつい!

 

 以前紹介した逆エビ固めはBBSでもご好評いただいた。で今回、姉妹技(?)と思われがちな逆片エビ固めをレビューするにおよび、誰を主役にしようか頭をひねったが、やはり豊登しか適任のレスラーは思い浮かばなかった。やはり豊登の金太郎のような逞しい体からにじみ出るパワーを超える逆片エビ固めというのは他にない。

 さて、なぜこの技を逆エビ固めと分けて紹介したかと言うと、当研究室ではこの両者は似ていながら全く別の技、という認識をしているからである。逆エビ固めが相手の背骨を痛めつけるのに対し、逆片エビ固めの英名はジャパーニーズ・レッグ・(ブリーカー)ホールドということからもわかるように、相手の脚を責める技だからである。写真を見てもらってもわかるが、相手の身体を反り返らせることには無頓着で、馬場、坂口に至ってはほとんど棒立ちの状態だ。技をかけられている相手の脚をよく注目して欲しい。ちょうどキーロックをかけられた時の状態になっている。元来この技はふくらはぎと太股の裏に腕を差し込んで締め上げる技なのである。ファンの中には「逆片エビより逆エビ固めのほうがエビそりになるからよくきく!」という人もいるが、両者は全然別物なのでこの説はあたっているとはいえなさそうである。ゆえにこの技をかけるときは、逆エビ固めと違って腰をどっしりおろすよりも、相手の身体を浮かせ、自分の体重がかかって負担をしょっている脚を締め上げることのできる中腰ほうが有効なのではないだろうか?坂口はこの技でチコ・ガルシアの右ひざを抜いたと言われている。

 あと、筆者が鮮明に覚えているのは1981年5月31日に大雨のエル・トレオで行われたカネックとビル・ロビンソンのUWA世界選手権のフィニッシュとなった逆片エビ固めである。ロビンソンは5分にわたり逆片エビ固めに耐えたが、レフェリーは試合続行不可能と判断し、レフェリーストップを宣言したのである。この試合はカネックのベストバウトだったと言われている。メキシコの世界選手権はほとんどガチンコの真剣勝負と言われるだけにゴッチの愛弟子であるカネックがロビンソンの攻撃にどう対応したか非常に興味深い。

 これも絶滅危惧種になってしまった技のひとつだが、相手の膝を徹底的に痛めつけておいて宙吊りに近い状態で相手にこの技を極めればなかなか絵になるし、説得力もあると思うのだが?平成のレスラーでは高山あたりに使って欲しいものだ。彼の場合わめきながらリングの中を相手を引きずリまわすと言うのが面白いと思う。