坂口征二のジャンピング・ニーアタック

2002.4.14 upload
2024.11.24 remix
2025.1.2 remix

 

   
ヒザを直角に相手に思いっきりぶつけるのが坂口スタイル*   仇敵・上田のアゴに叩きこんだ強烈なジャンピング・ニーアタック   地元でのタイトルマッチで勢い余って場外に飛び出そうになる 

 

 坂口征二といえばハイアングル・アトミックドロップやネック・ハンギング・ツリーのような力技を得意としていたが、唯一使っていたとび技がこのジャンピング・ニーアタックであった。坂口のジャンピング・ニーアタックは華麗さこそないが、その重量感と破壊力はすさまじいものがあった。

 特に昭和52年2月2日の大阪府立体育会館での北米タッグ・タイトルマッチで上田馬之助にぶち込んだジャンピング・ニーアタックは、上田のアゴに正面からヒザをもろにぶち込むという強烈な一発だった。タフな上田も一発で場外に吹っ飛ばされてしまった。

 昭和53年に行われた坂口&小林組VS藤波&木戸組のタッグマッチの3本目で炸裂したジャンピング・ニーパットもすごかった。坂口のひざが木戸の顎にモロにヒットし、仕掛けた坂口も勢い余ってしりもちをつくという強烈なものであった。木戸はこれで戦意喪失していたが引きづり起こされパイルドライバーで完全にKOされてしまった。

 もう一発強烈に印象に残っているのがマスクド・スーパースターを迎えての北米ヘビー級カイトル・マッチで繰り出した一発。カウントぎりぎりで場外からエプロンにあがってきたマスクド・スーパースターを場外に吹っ飛ばそうと坂口は全力で走りこんで、ニーパットを炸裂させたわけだが、勢い余って坂口もトップロープを飛び越えて場外転落。坂口は相手に怪我をさせてはと、限った相手にしか全力を出さなかったというが、このジャンピング・ニーパットだけは常に全力で突っ込んでいたように思える。

 

     
野生児バディ・ロジャースが元祖か?     ドリーが初来日時にみせたジャンピング・ニー   元祖と言われるクラップのジャンピング・ニー

 

 

ダイナミックな鶴田のジャンピング・ニーパット

  ボブ・ループも多用していた

 

 アメリカではNWA世界ヘビー級チャンピオンのバディ・ロジャースがこの技を得意にしており、ロジャースがこの技の元祖の可能性もある。

 この技を日本で初公開したのは「青銅の爪」キラー・カール・クラップであったという説があるが、昭和44年のNWA世界ヘビー級タイトル・マッチで、ドリー・ファンク・ジュニアがアントニオ猪木にジャンピング・ニーアタックといえなくもない技を披露している。

 元祖と言われるキラー・カール・クラップのジャンピング・ニーアタックはビデオで確認した限りでは、いささか迫力不足であった。

 日本人で坂口と並ぶ使い手がジャンボ鶴田であった。鶴田の場合は「ジャンピング・ニーパット」と呼ばれた。鶴田のニーパットは非常に打点が高く、飛び上がったときのフォームも非常にスマートだった。鶴田の場合もフィニッシュとしてではなく、攻守交替やフィニッシュへのつなぎの一発として使っていた。

 もう一人、この技の使い手として忘れてはならないのが、「ガチンコ野郎」ボブ・ループである。ループもショルダー・バスターと並ぶ得意技としていた。

*印写真提供:HARU一番様