ビリー・レッド・クラウドの倒立式インディアン・デスロック

2002.1.28 update

 

  日本では未公開とされていた技の中で、パロ・スペシャルとともにその目玉といわれていたのが、史上最高のインディアン・レスラーと歌われたドン・イーグルの倒立式インディアン・デスロックであった。しかし、調査の結果、この幻の技が日本で、しかも国際プロレスのリングで公開されていたのである。

この技を日本で公開したのは、同じインディアンでAWA地区で活躍していたビリー・レッド・クラウドである。当時はデスロック・スペシャル(垂直地獄足固め)というたいそうな呼び名で紹介された。インディアン・デスロックといえば、うつぶせの相手の足を十字に組んで、自らの足をねじ込み、後方にドーンと倒れる猪木の得意技を思い出される方が多いと思うが、あれは正確にはリバース・インディアン・デスロックといい、ハーリー・レイスがテリー・ファンクからNWA世界王座を奪ったときのフィニッシュに見せた相手を仰向けにして足を攻めるのがオリジナル・スタイルである。しかし、この業の元祖と呼ばれたイーグルは、この倒立式からさらにブリッジへ移行するスタイル(写真下)を得意としていたのを考えると、オリジナルはこの倒立式で、レイスがよく使っていたのは亜流かもしれない。

ではなぜわざわざ倒立するのか?ただ見栄えのよさを気にしているだけではなく、逃れようと上体を起こしてきたレスラーをけり倒すために倒立しているらしい。しかしこれほどかなりのバランス感覚が必要とされる技はほかにないだろう。残念ながら継承者はいない。

 

 

 

さて、倒立式と聞いて思い出すのが、ティム・ウッズのミスター・レスリングが得意としていた倒立式のスモール・パッケージ・ホールドである。これは別に倒立する理由がないように思えるのだが、何か実用的に理由もあったのであろうか?一見派手かと思うが、なんとも地味なギミックである。もちろん継承者はいない。チャボ・ゲレロもアーム・ロックをかける際によく倒立をしていた。