ジョニー・バレンタインのジャンピング・エルボー・ドロップ

2002.7.2 upload
2024.11.3 remix

 

   
最下段ロープに足をかけて落差を増す!  

すさまじい形相。これも必殺技の要素。

 

見守るセコンドの木村と小沢の表情に注目

 

 リアル・タイムで見たかったレスラーは数多くいるが、その姿があまりビデオに収められておらず、筆者にとっては幻のレスラーになっているのがジョニー・バレンタインである。その風格、風貌・・・超一流の雰囲気が漂っている。その彼の得意技がエルボー攻撃。その中でもフィニッシュに使ったのがジャンピング・エルボー・ドロップであった。

 必殺技はその威力はもちろん、技を繰り出すときのレスラーのフォームの美しさ、迫力も重要である。その点においてバレンタインのエルボー・ドロップはまさに1級品といえよう。なびいて逆立つ髪はまさに「金髪のジェット機」と呼ぶにふさわしいではないか。右側の写真はバレンタインが坂口からUN選手権を獲得した試合でのショットだが、奥に見える木村と小沢の心配げな表情をごらんいただきたい。「この技が出たらもう終わりだ!」見るものにそう思わせてこそ必殺技。見た目には単純な技でも超一流レスラーの味付けにより史上屈指の必殺技となるのである。

 

   
ローデスのリスミカルな助走は印象的 *   

ブッチャーも助走をつけて飛んだ *

  ジュニアは倒れながら体を浮かせる。

 

 この技をさらに迫力あるものにしたのが、飛ぶ前に助走をつけて走りこむという動作である。この助走付きのエルボーを得意としたのがダスティー・ローデス。ロープに飛んでリズミカルな助走をつけてジャンプする姿はこれぞアメリカン・スタイル!という華麗さがあった。

 アブドーラ・ザ・ブッチャーは対角線から走りこむ場合が多かった。巨漢にもかかわらずジャンプ力があり迫力があった。ドリー・ファンク・ジュニアはいため技として多用。ジュニアの場合はジャンプして倒れこむのではなく、倒れこみながら体を浮かせていた。

 キラー・カール・コックスもブレンバスターに次ぐフィニッシュ、もしくはフィニッシュへの伏線として多用。昭和45年の来日時はアサシンズが押さえる馬場めがけてエルボーを炸裂させフォールを奪っている。コックスは横向けに倒れこむようにして決めた。

 これとは逆に体をほぼマットに水平にした感じでジャンプするスタイルでエルボー・ドロップを使ったのがリップ・タイラー。彼もこの技をフィニッシュに使ったが、一流どころには通じなかった。

 破壊力がすさまじいのはジョニー・クイーンのホールド式。両手を組んで右ひじに全体重をかけるという危険なエルボーを得意とした。昭和52年にはこのエルボーで、頑丈なラッシャー木村の右肩を脱臼させてしまった。


 この他にもジョニー・バレンタインの息子であるグレッグ・バレンタインがフィニッシュ・ホールドとして使っていた。グレッグ・バレンタインのライバルだったリック・フレアーのエルボードロップも見応えがあった。

 現在のプロレスではこの技も単なる痛め技。トップロープからのダイビング・エルボー・ドロップでさえもフィニッシュにならないという状況である。

*印 画像提供=HARU一番様

 

   
コックスは身体の浴びせ方が独特  

リップ・タイラーは重量感がある

  クイーンのエルボーは強烈!

 

 

フレアーは跳躍距離、空中でのフォーム共に申し分ない*

  グレッグ・バレンタインのエルボードロップも父親譲りで強烈*