スキッピー・ヤングの正面飛び式 ドロップ・キック

2001.11.3 update
2002.11.29 remix

 

スキッピー・ヤングの正面飛びドロップキック。まるで無重力のよう。

 

 昭和のレスラーにはたとえ2流レスラーでも、ファンをはっとさせるような光るものをもっていたものである。そんな中でも筆者が忘れられないのがスキッピー・ヤング(来日時はスキップ・ヤング)の正面式ドロップキックである。ヤングの正面飛びは重量感こそなかったものの、黒人特有の跳躍力を生かした華麗で素晴らしい正面飛びドロップキックであった。

 ヤングのドロップキックのなかでも特に強烈な印象を筆者に与えたのは、昭和54年ロスのオリンピック・オーデトリアムで藤波辰巳に挑戦した時に見せたドロップ・キックであった。このときのヤングは天井を向いたまま相手を蹴り背中から着地する正面飛び式と、身体をひねりながら相手を蹴りうつぶせになり手をついて着地するスクリュー式の2種のドロップ・キックをみごとに使い分け、藤波からフォールを奪ったのであった。その跳躍力に当時10歳の筆者は大きなショックを受けた。画質が悪いが、当時のビデオからのキャプチャー画像をごらんいただきたい。

 

     

助走なしで大きくジャンプ。

 

まるで無重力のよう。

 

身体をひねりながらける。

 

腕を突っ張り腹ばいにならずに着地

     

膝をついて2発目の体勢。

 

相手が立ち上がるのを見計らい

 

驚くべきジャンプ力!

 

正面式でアッパーカット気味にヒット!

       

背中から着地。

 

さっと跳ね上がって・・・

 

押さえ込む。

   

 

 ここまで躍動感を持ったレスラーはなかなかいない。初代タイガーの好敵手になれたであろうが、昭和55年の初来日時の不調が新日本プロのフロントに悪印象を与えたのか?再び新日本プロのマット踏むことはなかった。しかし日本でもドロップキックだけは光っていた。ヤングはこの後、スウィート・ブラウン・シュガーに変身し全日本プロレスに登場し、華麗な正面式ドロップキックを見せてくれた。

 そもそもこの技のオリジナルはジャンピング・ジョー・サボルディだといわれるが、サボルディと対戦経験のある沖識名の回想によればサボルディのドロップキックは正面とびで尻から落ちるあまり見栄えのよいものではなかったという。ヤングの他にも正面飛びドロップキックを得意にしていたレスラーは多くいたので代表的な選手を紹介しよう。

 

   

典型的な正面飛びのテーズ。

 

名脇役の吉村。

 

日プロ時代の猪木。

 

 外人で正面飛びを多用したのがルー・テーズである。テーズの場合、場外に落ちた相手がエプロンに戻ったところを狙い撃ちするのが得意であった。ゴッチはもろにこれをくらい場外で後頭部を痛打し、リングアウト負けを喫している。日本人では吉村道明がこの正面飛びを得意としていた。日プロ時代の猪木も正面飛び式ドロップキックを使っていたが、空中でのバランスが悪く非常に不恰好で、吉村のドロップキックに軍配が上がる。