スキッピー・ヤングの正面飛びドロップ・キック

2001.11.3 upload
2002.11.29 update
2024.12.26 remix

 

スキッピー・ヤングの正面飛びドロップキック*

 

 

助走なしで大きくジャンプ

 

まるで無重力のよう

 

 昭和のレスラーにはたとえ超一流レスラーでなくとも、ファンをはっとさせるような光るものをもっていたものである。そんな中でも筆者が忘れられないのがスキッピー・ヤング(来日時はスキップ・ヤング)の正面式ドロップキックである。ヤングの正面飛びは重量感こそなかったものの、黒人特有の跳躍力を生かした華麗で素晴らしい正面飛びドロップキックであった。

 ヤングのドロップキックのなかでも特に強烈な印象を筆者に与えたのは、昭和54年ロスのオリンピック・オーデトリアムで藤波辰巳に挑戦した時に見せたドロップ・キックであった。このときのヤングは、身体をひねりながら相手を蹴りうつぶせになり手をついて着地するスクリュー式と、天井を向いたまま相手を蹴り背中から着地する正面飛び式との2種のドロップ・キックの2連発で、藤波からフォールを奪ったのであった。その跳躍力に当時10歳の筆者は大きなショックを受けたと同時に、当時は単なる攻め技になっていたドロップキックでフォールを奪ったことにも衝撃を受けたのである。

 ここまで躍動感を持ったレスラーはなかなかいない。初代タイガーの好敵手になれたであろうが、昭和55年の初来日時の不調が新日本プロレスのフロントに悪印象を与えたのか? 再び新日本プロレスのマット踏むことはなかった。

 しかしこの初来日のシリーズでは不調ながらもドロップキックの切れ味は光っていた。ヤングはこの後、スウィート・ブラウン・シュガーに変身し全日本プロレスに登場し、再び華麗な正面式ドロップキックを見せてくれた。

 そもそもこの技のオリジナルはジャンピング・ジョー・サボルディだといわれるが、サボルディと対戦経験のある沖識名の回想によればサボルディのドロップキックは正面とびで尻から落ちるあまり見栄えのよいものではなかったという。ヤングの他にも正面飛びドロップキックを得意にしていたレスラーは多くいたので代表的な選手を紹介しよう。

 

 
 元祖ジョー・サボルディの正面飛びドロップキック!  

典型的な正面飛びのテーズ

 
  
 

名脇役の吉村も正面飛びドロップキックを得意とした

 

日プロ時代の猪木のドロップキックはバランスが悪い!

 

 外人で正面飛びを多用したのがルー・テーズである。テーズの場合、場外に落ちた相手がエプロンに戻ったところを狙い撃ちするのが得意であった。ゴッチはもろにこれをくらい場外で後頭部を痛打し、リングアウト負けを喫している。

 日本人では吉村道明がこの正面飛びを得意としていた。日プロ時代の猪木も正面飛び式ドロップキックを使っていたが、空中でのバランスが悪く非常に不恰好で、吉村のドロップキックに軍配が上がる。

 ドロップキックについては、一流のレスラーでも使いこなせないケースが多い。力道山、カール・ゴッチ、大木金太郎といったそうそうたる顔ぶれの正面飛びドロップキックは身体がL字型になり不格好な飛び方になっていた。

 

   

力造山のドロップキック

 

ゴッチもドロップキックは上手くなかった

   大木金太郎のドロップキックは・・・なんもいえねぇw