ボボ・ブラジルのココバット

2004.7.31 upload
2024.11.20 remix

 

 

ジャイアント馬場に強烈な一発!

  これがジャンピング・ココバット!

 

   
 ジャック・ブリスコからフォールを奪った一発!   大木との伝説の頭突き合戦


 

 「プロレスの魅力は鍛えられた肉体と肉体のぶつかりあいだ!」と、インタビューした際にストロング小林は私に語った。バシーン、バシーンと肉体のぶつかる鈍い音が会場に響き渡る。これがプロレスの醍醐味である。

 そういった意味では、頭を頭に思いっきりぶつけるというだけの単純な技である頭突き攻撃も、プロレスの醍醐味を伝えるに充分な必殺技といえよう。その使い手の東洋の最右翼がキム・イルなら、西洋の最右翼がボボ・ブラジルだ。ブラジルの頭突きは「ココ・バット」と呼ばれた。

 「ココ」というのはココナッツが語源といわれ、ブラジルの固い頭がココナッツにたとえたものであるというのが定説。しかしこの「ココ」というのは「頭の中が空っぽ」という黒人に対する侮蔑の言葉であった。ちなみに「ボボ」というのも黒人に対する蔑称であるという。黒人レスラーは自ら蔑称を名乗らねば、リングの上で生き延びることができなかった時代。その境遇へのブルース。こういった背景を当時のマスコミはうまく煽った。

 「ブラジルのココバットには白人への恩讐がこめられている・・・」

 このギミックにファンは震え上がった。大木との頭突き合戦にもアメリカ、日本におけるマイノリティの激突であった。プロレスというものは、明るく楽しいだけじゃない。こういったブルース的要素も必要なのである。

 ヘッドバットは黒人レスラーの専売特許でもあるが、アンドレ・ザ・ジャイアントもヘッドバットを得意とした。アンドレの場合は「二階から振り落とすヘッドバット」と表現された。日本人ではラッシャー木村も得意としていた。

 

 

「二階から振り下ろす」と表現されたアンドレの頭突き

  ラッシャー木村も頭突きを武器にした