ブルーザー・ブロディのキングコング・ニードロップ

2002.9.13 update

 

 
     

 初来日時のブロディ。(撮影HARU一番さん)

 

55年ごろはかなりシェイプアップしていた

 

 ブルーザー・ブロディを「最強のレスラー」という人は多い。その風貌、相手を寄せ付けぬ威圧感、そして何よりも「キングコング・ニードロップという一撃必殺の技をもっていたことが、ブロディの強みであった。ブロディの試合はチョップとキックで相手を追い込み、キングコング・ニードロップでしとめるという黄金パターン。時にはニードロップに行くと見せ、ギロチンドロップを出すという演出も忘れなかった。アンチ・ファンはワンパターンというが、この黄金コースを最後まで守り抜いたという頑固さがブロディを超一流たらしめたといってよかろう。

 さて今回、このブロディのキングコング・ニードロップを必殺技名鑑で紹介したのは、HARU一番さんから提供していただいたこの技をさらにパワーアップしたトップロープからのキングコング・ニードロップの貴重な連続写真を紹介したかったからである。

 

   

 

   

 

 被害者はテッド・デビアス。第10回チャンピオン・カーニバルの公式戦でのショットである。この当時次期NWA世界王者といわれたデビアスは絶好調でビル・ロビンソンをおさえブロディとともにダブル・エースの扱いを受けていた。その両者が対戦した公式戦だったわけで、ある意味このシリーズの外人頂上対決であった。結果はブロディが非常に珍しいダイビング式のキングコング・ニードロップで、フォール勝ちを収めるのだが、これは非常に興味深いフィニッシュとはいえないだろうか?ブロディはプライドが高く、相手を見下し一方的な試合をすることが良くあったという。しかし、デビアスに対しては通常のキングコング・ニードロップではなく、「トップロープからの」をいう特別条件のついたキングコング・ニードロップをフィニッシュに使ったのである。つまりそれだけデビアスを認めていたということがいえると思う。やはり両者は認め合うものがあったのだろう。一流は一流を知るということか。しかしこの「超危険技」を受けきったデビアスも凄い。

 結局両者は鶴田とともに28点でリーグ戦を終了。29点の馬場に1点及ばず同率の2位に終わった。この後ブロディは刺殺、デビアスはついにNWA世界王者になることなく、WWFで嘆かわしいギミックのミリオンダラーマンに変身、鶴田は内臓疾患でリングから遠ざかる(後に逝去)・・・という、当時は予想だにしなかったそれぞれの人生を歩むこととなる。プロレスラーの人生はまさに一寸先は闇。