ジム・ブランゼルのスクリュー式ドロップ・キック

2002.11.29 update

 

さすがハイフライヤーズと名乗っただけあって素晴らしい跳躍力だ。

 

 正面飛び式ドロップキックではスキップヤングを紹介したが、身体をひねってうつ伏せに着地するスクリュー式の名人として筆者が忘れられないのが、グレッグ・ガニアとのハイ・フライヤーズで一世を風靡したジム・ブランゼルである。ハイフライヤースの見せ場は二人揃ってのドロップキックの共演であったが、華麗さ破壊力どちらをとってもブランゼルのほうが上であった。このレスラーもドロップキックだけの「一芸さん」と思われがちだが、AWA世界王者時代の鶴田と対戦し善戦したこともあり、実は大変な実力者でガニアの息子と組まされたことで、逆に一流半で停まってしまった男だと筆者は見ている。AWA崩壊後はWWFでキラービーズとして活躍。変な蜂ダンスはいただけなかったが、ドロップキックはやはり名人級であった。

 このスクリュー式は正面式を改良したものだが、1950〜60年代にこの技で一世を風靡したのが、アントニオ・ロッカとパット・オコーナーである。

 

       

連続ドロップキックの2発目

 

左足を振り上げてジャンプ

 

上から打ち下ろすように蹴る

 

足をのばしきらずに回転

  着地は右肩から

 

       

対戦相手は2mのスハイ・ハイ・リー

 

この跳躍力を見よ!

 

足と伸ばしきって顔面を蹴る

 

蹴ると当時に身体をひねる

 

手をついて腹ばいで着地

 

 ロッカはたとえが悪いが人間離れしたサルのような敏捷さを持っている。このスクリュー式は連発が効き、ビデオでは10連発ドロップキックを炸裂させている。一方のスカイ・ロケットと呼ばれたオコーナーのドロップキックも連射のきく着地を見せている。この他にもドロップキックの名人といわれたレスラーは多い。その中から手元に画像のあるものをピックアップして見たい。

 

   

12連発ドロップキックで日本にその名をとどろかせ
たマスカラスのドロップキック。

 

流知美氏を魅了したというトニー・チャールスの
ドロップキック。

 

黒い猪木といわれたロッキー・ジョンソンのドロップキック。
腕を伸ばして動きを大きく見せている。

 

   

ペドロ・モラレスも華麗なドロップキックを得意
としていた。

 

日本ではごく少数のファンしか見ていないフライング・
フレッド・カリーの幻のドロップキック。

 

ポール・クリスティーの豪快なドロップキック。

 

   

モラレスと同じプエルトリコのビクター・リベラも美しい
ドロップキックで定評があった。

 

馬場の32文ロケット砲。2,3歩走って助走をつけて
飛びあがっていた。

 

名手ではないがブロディのドロップキックも思い出深い。
かなり助走をつけて飛び上がる姿はド迫力であった。

 

 以上、9人のドロップキックをご覧頂いたが、やはりそれぞれに個性がある。写真を見てわかるように蹴った後、右に身体をひねるレスラーと左にひねるレスラーがいるが、まぁこれは威力などに差はないと思う。今回は日本人選手は馬場しか紹介しなかったが、ジョージ高野、初代タイガーマスクもドロップキックの名手であった。特にジョージは跳躍力も伸びも素晴らしかった。

 あと注目して欲しいのがポール・クリスティーのドロップキックである。彼の場合は相手を蹴ってから身体をひねってうつ伏せになって着地するのではなく、蹴る前に身体を回転させ、うつ伏せに近くなった状態で相手を蹴る「背面飛び」(筆者はこの名称には違和感がある)といわれるスタイルである。このスタイルは他にバーン・ガニアが得意としていた。クリスティーは未来日に終わりその豪快なドロップキックは日本では披露されずに終わった。他にベアキャット・ライトのスクリュードロップキックが有名だが、現時点ではその画像は未入手。入手できしだい掲載するので御了承いただきたい。昭和プロレスでは馬場の32文ロケット砲のように一発でフォールを奪えるドロップキックがあったが、それも今は幻である。