豊登の逆エビ固め
2002.9.15 upload
2002.10.16 update
2002.10.23 update
2005.1.25 update
2024.11.23 remix
裏返す時の攻防も見ものだ! | 渾身の力で締め上げる。なんと力強いことか! |
2002年夏のオフ会で「豊登vsデストロイヤー」のWWA世界ヘビー級選手権(昭和40年2月26日)のビデオが上映された。この試合は結局、61分フルタイムの引き分けになるのだが、この試合で出た大技と呼べる技はこの逆エビ固めだけであった。一本目豊登はしつこくアームバーでデストロイヤーの腕を攻める。どういうフィニッシュでの布石か?と思ってみていたら、デストロイヤーの倒立式ニースタンプであっさり豊登はフォールされてしまう。二本目も豊登は腕責めを続けるが、フィニッシュはなぜかショルダースルーからの逆エビ固めであった。
しかし「なぜ腕殺しから逆エビ固めなのか?」という疑問を一瞬忘れさせるほど、豊登の逆エビ固めには見るものを納得させるものがあった。相手の両足を脇で挟んで力強く裏返すと、うつ伏せになった相手をまたぐ。そしてこのときにしこを踏むように両足を順番にドスンドスンとやってから腰をおろしてぐっと締め上げる。こういうアクセントを挟むことによって、見るものをして「これは効くなぁ!」という思いにさせる・・・これがいわゆる名人芸であろう。 |
「赤さそり」タム・ライスの逆エビ固め |
リック・フェララも忘れてはならない使い手 | マーティン・ジョーンズの拷問逆エビ固め! |
逆エビ固めという技は単純に見えて非常に危険な技である。プロレスが大衆のスポーツであった時代には「プロレスごっこで死亡」という記事をよく目にしたが、その多くは逆エビ固めで窒息死というのが原因だったという。素人が死んでしまう技を受けても死なないレスラーはいかに鍛え上げられているかということもいえよう。
まず外国人レスラーの使い手から。外人レスラーで最初にこの技をフィニッシュに使ったのはタム・ライスではないだろうか? ライスのニックネーム「赤さそり」は逆エビ固めをかけるとみるみる上半身が上気して真っ赤になることからつけられたという。 外人レスラーの使い手で注目して欲しいのがマーティン・ジョーンズの逆エビ固めである。これはもう逆エビ固めの領域を越えたというか、まぁ強烈な複合技になっている。しっかりと脚をロックし、膝を腰に当ててタイガーマスクの背骨を痛めつけている。やはり欧州系レスラーの使う技からは、見た目以上の怖さというものがある。このマーティン・ジョーンズはスチーブ・ライトとならびタイガーマスクが苦戦した欧州系レスラーの一人で、結局試合には負けるが負けても涼しい顔をしていたのが印象に残っている。その横で勝者のタイガーは青息吐息であった。 |
木村政彦の逆エビ固め。やや腰高である | 馬場の拷問逆エビ | 猪木はボクサー相手の異種格闘技のフィニッシュに使った |
ストロング小林も得意とした | 坂口も腰高。柔道出身者の特徴か? | ラッシャー木村は腰を落とし安定感あり |
この技は、ほとんどの日本人レスラーが使っていた。中でも多用していたのはラッシャー木村とストロング小林である。小林はIWA世界選手権でホースト・ホフマンを試合放棄に追い込んでいる。国際プロレスの2大エースのフィニッシュがこの地味な技だったことも、国際プロレスの「華がない」というイメージにつながったともいえなくはないかも。 最後に蛇足だが、この技をめぐる攻防として技にかかってから脚の力でかけているレスラーを前方に投げるというのがあったが、ここからさらに回転エビ固め合戦というように試合が流れていった。 |