マイ・ジェネレーションも名盤だが、筆者にとってザ・フーといえばなんといってもこのア・クウィック・ワン(写真は米版ハッピー・ジャック)なのだ。なんたって「ソー・サッド・アバウト・アス」が入っている。これだけで名盤だとおもう。何を隠そう数多いフーの曲の中でも、この曲が一番好きだ。(そのつぎは「ドッグ」)この曲をライブ演奏しているビデオ(マーキーにおけるライブをドイツのTV「ビート・クラブ」で放映したもの)を見たが、それはもう本当に体が痺れるぐらいのカッコ良さであった。ただ、リミックス、リマスターCDのバージョンはなんだかスローなきがするが、これは気のせいかな?マージービーツのバージョンも残っていたらぜひ聞いてみたい。全くテイストの違った上品な作品に仕上がったことだろう。フーの曲の素晴らしさは、ただやかましいだけではない。ちゃんと美しいメロディーが生きている。ピートの書いた曲は「イギリスの良心」といっても言い過ぎではないと思う。
で、このアルバムだが、初めて聞いたのはポリドールが出していたモノラル・バージョンのCDであった。当時大学生の筆者は素直に感動した。で、次に買ったのがMCA盤のCDであった。当然アメリカ仕様なのでハッピー・ジャックというタイトルだったが、アルバムではカットされていた「ヒート・ウェイブ」が追加収録されていた訳だが、この音質のひどさに飛び上がるほど驚いた。と同時に、一部を除いてステレオで収録されているのにも驚いた。このステレオが非常に効果的なので、MCA盤のCDは余裕があればぜひ購入されたし。で、今度は中古のアナログ(アメリカ盤)をみつけ衝動買い。そして、リミックス、リマスターCDがでたら、すぐに買ったというほど、このアルバムは好きなんですよ。しかしリミックス・リマスター盤はステレオ、モノ、疑似ステレオと一貫性がないのであまり好きではない。特に疑似ステレオで収録する意味なんてあるのかと首をかしげたが、まぁ、この作品の素晴らしさはそんなことでは霞むわけではない。
一般的にいわれるこのアルバムの目玉は何といってもロック・オペラの原点ともいわれる「ア・クイック・ワン」である。9分を越えるこの組曲は、4つのパートで構成されている。一部ドラッグを連想させる部分もあるが、まぁ、恋人の離別と、浮気、再会をドラマチックに謳いあげた力作である。が、しかし、筆者には「ソー・サッド・アバウト・アス」だけで充分なのである。また、ジョンの大活躍も嬉しい。
【コレクターズ・ノート】
このアルバムの収録曲はは日本では「アイム・ア・ボーイ」と「エキサイティング・ザ・フー」という2枚のアルバムに分けて紹介された。これらのアルバムはいずれも激レア。よほどの資金がない限りほとんど入手は困難である。
「アイム・ア・ボーイ」 1967 日本グラモフォン SLPM-1354
A面 アイム・ア・ボーイ、ラン・ラン・ラン、恋はヒート・ウェイブ、ボリスのくも野郎、アイ・ニード・ユー、恋のサークル
B面 ウィスキー・マン、イン・ザ・シティ、ふりむかないで、恋のマイ・ウェイ、くもの巣と謎、ディスガイズ
「エキサイティング・ザ・フー」 1968 日本グラモフォンSLPM-1385
A面 ハッピー・ジャック、リリーのおもかげ、恋のピンチヒッター、寂しい別れ、ドクター・ドクター、ワルツ・フォー・ア・ピッグ
B面 ザ・ラスト・タイム、俺の指図で、ソー・サッド・アバウト・アス、ア・クイック・ワン
【2010年追記】
上記の日本盤はジャケットを忠実に再現した紙ジャケット仕様でCD化された。
また、2008年にはモノラル、ステレオミックスとボーナストラックを収録しBOXがリリースされた。このBOXには各国盤のアルバムジャケット、収録曲のシングルジャケットの精巧なレプリカがオマケについていた。
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