ザ・モンキーズというグループは非常に知名度は高いが、ほとんどの人がベスト盤を持っているだけで、アルバムをきちんと聞いた人は少ないのではないだろうか?確かに彼らは正式な意味でのバンドではなかった。テレビ番組のために寄せ集められた4人組である。しかし、そのような固定観念だけで、軽く見られているという事実は非常に悲しいと思う。特に彼らの4枚目のアルバムはポップス史上に残る傑作とわたしは断言する。これを聞いたことがない人は非常に損をしていますよ!とまでいっちゃおう。実はモンキーズの3作目のアルバム「ヘッドクォーターズ」は全曲メンバー自身が演奏した力作であったが、皮肉なことに前2作よりも、明らかにクオリティが落ちてしまっていた。そこでふたたびセッション・ミュージシャンと投入して作り上げたのがこの4作目「スター・コレクター」であった。ジャケットに描かれているメンバーに顔がなく、色が塗られていないのも、この事実を象徴しているような気がするが、これは多分わたしの思い過ごしであろう。
とにかくこのアルバムは非常に心地よい気分にさせてくれる。良質なポップスのオン・パレードである。いつもあっという間に聴き終わってしまうのだ。そしてもう一度、スタートボタンを押して聞き直してしまうのであった。ライター陣を見てみるとジェフ・バリー、マン&ウェイル、ボイス&ハート、ゴフィン&キング・・・というそうそうたる面々が名を連ねている。こんなアルバムが素晴らしくないはずはない。もう曲の流れが全く完璧で、いい意味で聞き流して・・・というか流されてしまうのである。特にA面の曲構成は素晴らしく、これほど理路整然かつ心地よい配曲のアルバムをわたしは知らない。どの曲のここがいいとか書く気にはならない。しいてあげれば「ハード・トゥ・ビリーブ」のホーンアレンジの心地よさにあいまった、デイビーのリード・ボーカル。何と言うか、今風に言えば癒されるというんですか?そんな感じの名曲であります。このデイビーはメンバーの中で一番音楽には疎かったようですが、彼のボーカルは「デイドリーム・ビリーバー」なんかを聞いてもわかるように。味があっていいんだよね。とにかく、まずはCDショップに足を運んで、このCDを手に入れて頂きたい。耳こそはすべて。私の稚拙な文章ではその素晴らしさの半分も伝わらないのであります。
ちなみに日本では、まったく異なるジャケット(写真上)で発売された・・・。
2006年5月5日付記
CDショップに足を運んで・・・と書いたが、国内盤はすでに廃盤になっているようです。
|