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   THE LIVERPOOL FIVE ALIVE / OUT OF SIGHT
 
 
 
THE LIVERPOOL FIVE
ALIVE / OUT OF SIGHT

Rock-In-Beat records
RB 038


お勧め度 ☆☆
She's Mine
Sister Love
I'm Not Your Stepping Stone
A Shot of Rhythm and Blues
Let the Sunshine In
What a Crazy World (We're Living In)
That's What Love Will do (To You)
Just a Little bit
Hey Little Girl
I Just Can't Believe It
Sticks and Stones
Heart
Any Way That You Want Me
My Generation
Piccadilly Line
I Can Only Give You Everything
Baby, Out of Sight
Gotta Get a Move On
She's (Got Plenty of Love)
Do You Believe
The Snake
I'm Your Hoochie Coochie Man
Get Away
Everything's Alright
That's What I Want
New Directions
 今回もまたまたドイツの謎のレーベル「rock-in-beat」からリリースされたCDを紹介しよう。別に「rock-in-beat」の宣伝マンではありませんので念のため。60年代最大の人気グループと言えばビートルズである。ザ・バッグス、ザ・ビートレッツ・・・ビートルズにあやかったバンドも多く出現した。今回の主役であるザ・リヴァプール・ファイヴもそんな中の一組であると筆者はずーっと思い込んでいた。何しろ彼らは64年9月に東京で行なわれた「世界サーフィン・パレード」というめちゃくちゃなタイトルのイベントに招待され、商魂たくましい日本の興業師に「リヴァプール・ビートルズ」という名前に変えられ、かの有名な東京ビートルズとともにステージに登場しているのである。そんな経緯があったので、筆者はてっきり彼らが東京ビートルズと同じくビートルズのコピー・バンドだと思い込んでいた訳。しかし今回リイシューされたCDを聞いて自分が長年彼らに対し誤解を抱いていた事に気づいたのである。
この限りなく海賊盤に近い(といっておこう)CDの日本の発売元であるULTRA DISTRIBUTIONが付けた解説(伊藤秀世氏)によれば彼らはイギリス人という触れ込みでデビューしたが実ばバリバリのアメリカン・ボーイであったというのが定説になりつつあるらしいが、この説は当たっていると思う。とくに冒頭に収録されている「she's mine〜あいつは俺のもの」がどう考えても西海岸のガレージ・バンドの音である。少なくともリヴァプールのバンドのようなライト感覚ではない。活動拠点がワシントン州だったと言うからキングスメンあたりのライバルだったのではないだろうか?このCDは66年に発売された「ALIVE」と67年の「OUT OF SIGHT」の2in1で、ほとんどがR&Bのカバーなんだが、これがなかなかアレンジも良くギターのラウド感も心地よい。ボーカルも非常に宜しい。ビートルズのコピー・インチキ・バンドだなんて思っててすみませんでした。勘弁して下さいと、思わず懺悔しました。
 特に「she's mine」は「あいつは俺のもの」という邦題がついている事からもわかるように日本でもシングルが発売されていた。この曲は彼らのオリジナルでガレージバンド史上にのこる名曲と言えます。そしてもう一曲、トロッグスでおなじみの「Anyway that you want me」もやってるんですが、これも素晴らしい。特にキーボードの使い方が当時流行のサウンドを象徴していて非常に良い。それとゼムの「I can only give you everything」という渋い選曲も光ります。本当に自分の知識の浅はかさを恥じました。
 で、最後に日本盤のライナーに興味深い記述があったので紹介しておく。「実はデイブ・バージスがテキーラで知られるチャンプスのリーダー兼ギタリストと同一人物ではないかとの説もあるのだ。」・・・これが本当だとしたらかなりのベテランだよ、この人たち!演奏も同じ西海岸で活躍したキングスメンと比べたら数段上手いし、この説、実は当たってるんじゃないかと思います。とにかくお勧めの一枚ですよ!しつこいようですが、小生はこのレコード会社とは何の関係もありませんので。

付記 : 犬伏功さんより以下のようなメールを頂きましたので付記しておきます。

彼らがアメリカンボーイだというのは完全なデマです。彼らにウソがあるとすれば、それはリバプール出身ではないということだけで、実はニューキャッスルその他英の各地から集まったものという位ですが、これ自体もオリジナルの米RCA盤のバックカヴァーにはきちんと書かれており、別に騙してたわけではありません。

【2010年追記】
 すでに廃盤。ベスト盤が入手可能。