フレッド・ブラッシーの噛み付き攻撃!

2003.4.14update

この鬼気迫る表情を見よ!!

 

 新コーナーである「反則攻撃図鑑」をオープンするにあたり、まず最初に取り上げなければならないのはなんと言ってもフレッド・ブラッシーの噛み付き攻撃であろう。これほどまでにシンプルでポピュラーな反則技はない。しかも死人まで出したという反則攻撃はこれが最初で最後である。噛み付くという行為は、動物が敵に攻撃を加える際の基本的な攻撃方法である。しかし理性のある動物といわれる人間が相手に噛み付くという行為は「野蛮」な行為に他ならない。ゆえにファンを興奮させ、老人をショック死させることになったのである。

 欧米には吸血鬼伝説がある。それに目を付けたのがフレッド・マクダニエルだった。短期間ながらNWA世界ジュニア・ヘビー級王者に君臨したテクニシャンだったマクダニエルだが、正統派の彼は爆発的な人気を獲得することが出来なかった。そこで考えたギミックが髪を銀髪に染めて相手を噛みまくり、その血をすするという吸血鬼ギミックである。日本でテレビを見た老人が死んで社会問題となったが、アメリカでは60人以上をショック死させたとブラッシーは語る。

 ブラッシーの噛み付き攻撃が伝説となったのは、その徹底したプロ意識だと思う。まずトップの写真を見ていただきたい。振り乱した銀髪、何かがとり憑いたようなこの目付き!全く絵になるレスラーである。しかもヤスリで歯を研ぐという演出(これは力道山の提案という説もあり)!噛み付き攻撃にここまでのこだわりを見せたブラッシーはプロの中のプロである。賛否両論はあるが、ブラッシーは超一流のレスラーであると思う。

 

   

歯を研ぐ銀髪鬼!!

  マルコフはブラッシーそっくり   なんと、ジョニー・バレンタインも!

  

 ブラッシーのほかにも噛み付き攻撃を得意としたレスラーは何人かいるが、ブラッシーのように噛み付き攻撃を看板にしたレスラーはいない。またテクニシャンが噛み付き攻撃を使うと「落ちたものだ」と雑誌などで批判される風潮もあった。つまり噛み付き攻撃というのは、全く品格のない技なのである。それを看板に一世を風靡したブラッシーはやはり一流ではないだろうか?

追記 : 2003年6月2日(米国時間)、ニューヨーク郊外の病院で銀髪鬼フレッド・ブラッシーは永眠いたしました。享年85歳。生涯悪役を通したブラッシーは最高の悪役レスラーだったと思います。合掌。