ファイル61　２メートルのダラ・シンの映像を発見！

ファイル61　キラー・ダラ・シンの映像を発見！（ダラ・シンの迷宮完結編）

　2009～2013年にかけて約４年間に渡り、私を苦しめたのが「ダラ・シン別人説」の検証である。

　当初はダラ・シンは３人いて、昭和30年に来たのは２代目、昭和42年に来たのは３代目で、他にキラー・ダラ・シンと呼ばれた初代がいた…つまり昭和42年に来日したダラ・シンは昭和30年に来日したのとは別人という仮説を導き出した。

　しかし、その後の検証により、日本に来たダラ・シンは一人つまり昭和30年に来日したのと昭和42年に来日したのは同一人物であるという結論に至った。詳しくは昭和プロレス・ファイル58「ダラ・シンの迷宮からの脱出」を読んでいただきたい。

　そして今回、昭和プロレスマガジン62号執筆に際し、ダラ・シンについて調べていたところ、2013年当時には生涯がよくわからなかったキラー・ダラ・シンの映像を発見したのである。さらにFacebookに彼のページが出来ていることも分かったのだった！

　まずはこちらの映像をご覧いただきたい！
https://www.youtube.com/watch?v=vlQvLqzrdTw

　これはニュース映画会社「英国Pate社」のニュース映像で、1955年にソビエトのフルシチョフ書記長がインドを訪問した際に、レスリングの試合を観戦したという内容。試合をしているレスラーのひとりがキラー・ダラ・シンこと初代ダラ・シン＝ダラ・シン・ダルチプール（Dara Singh Dulchipur）である。対戦相手はハーディ・シンという選手で、プロレスではなく、インド式のレスリングのようである。

　Dara Singh Dulchipurで検索してみると、いろいろな情報がヒットした。IMDｂにも経歴が掲載されていたので引用しておく。

　本名はダラ・シン・ダルチプール（ダルチプリア）。本姓はシドゥ。ダルチプリアは彼が生まれた村の名前です。後に俳優でプロレス界のレジェンドになったダラ・シンは、スクリーンネームとリングネームをダラ・シン・ダルチプリアからつけました。

　1918 年に生まれ、1988 年に亡くなりました。俳優でレスラーのダラ・シンは、彼のリングネームにちなんで名付けられました。

　素手で3人を殺害した罪で刑務所に送られる。彼は兄弟を殺した復讐をするために行った。彼らは財産紛争で殺害された。その後、彼は善良な行動をとったために刑務所から釈放された。彼はインド首相の前で格闘した。

　身長は7フィート近くありました。彼はクシュティを専門とする伝統的なインドのレスラーでした。その後、彼はプロレスを学び、AWAプロレス界のレジェンドであるビリー・ロビンソンと対戦した。ロビンソンは60年代初頭にインドで彼と対戦した。

　スラマーでの短い服役の後に彼のニックネームが付けられました。彼は前年に亡くなった兄の仇を討って服役した。彼は財産紛争で命を奪われた。ダラはその後、善行を理由に釈放され、インドのパンディット・ネルー首相の前で格闘した。

　刑務所で過ごした後、キラー・ダラ・シンとして有名になった。

（引用終わり）

　キラー・ダラ・シンがロビンソンと対戦していたとは驚きだが・・・1962年にビル・ロビンソンはインドに遠征しているが、この時、２代目ダラ・シン（来日したダラ・シン）と対戦している写真が残っているので、紹介しておく。

　　さらに驚くべきは、なんとFacebookにDara Singh Dulchipurのページが出来ていたのである。
https://www.facebook.com/DaraDulchipuria

　このページにはさらにややこしい情報が・・・キラー・ダラ・シンも映画に出演していて、2代目ダラ・シンと共演していたのだ。以下引用。

　これは映画業界が「ダラ・シン・ダルチプール」に出演を懇願した作品だった。
彼は映画の役割とストーリーがどのようなものになるのかを知りませんでした。
ディーダー・シンが彼を地面に投げつけた後、自分の役割は終わったと告げられたとき、ダラ・シン・ダルチプリアは激怒し、セットを破壊した。彼は殺されるべきではなく、英雄として出てくるべきだったと主張したため、非常に動揺していました。なぜなら彼は私たちが聞いてきたすべての戦いの真のチャンピオンだったからです。
（引用終わり）

　この映画は１９６４年の「Samson]という作品。キラーは２代目と対戦し負ける役柄である。
https://www.facebook.com/DaraDulchipuria/videos/595141447851320/

　またFacebookによるとDara Singh Dulchipurはシンガポールで、キング・コングとも対戦していたという。ダラ・シンを調査して約15年目にして、ようやくその正体や経歴が判明したということになる。15年前にはヒットしなかった情報が続々と、しかも映像まで・・・この15年間のネット社会の進化ぶりに驚かされた次第である。

　ダラ・シン研究はこれで完結としたい。