ファイル No4 : 幻のジュニア・オールスター戦

昭和54年5月16日 姫路市厚生体育館 45分3本勝負

藤波辰巳&チャボ・ゲレロ (2−1) エル・ソリタリオ&エル・カネック

 

   
メキシコでは敵対関係も日本では休戦   アメリカス・タッグも獲得した藤波&チャボ   チャボのゴリー・スペシャル!!

写真提供 HARU1番様

 
カネックとチャボの対決はこれだけだろうか?   フィニッシュになった回転足折り固め

写真提供 HARU1番様

 

 当時の新日本ファン特に藤波ファンが見たら涙が出そうな試合の写真だ。5月10日のテレビマッチ、藤波−ソリタリオ戦にカネック、チャボが乱入した事により生まれた因縁マッチである。普通ならテレビマッチで行われるはずだったが、ソリタリオの来日契約が16日までで、17日のテレビマッチに組めなかったという幻の試合だ。当時のゴングの記事から要約してみよう。

・・・ソリタリオとカネックはメキシコにおいては有名な犬猿の仲であるが、カネックは自信たっぷりにこう言って試合に臨んだ。「ソリタリオとタッグは組みたくなかったが、メキシコかぶれした藤波とチャボに本当のメキシカンの恐ろしさを教えるには一時的に協定を結ばざるを得ない。」
先発はカネックと藤波だ。ソリタリオはロープを利したソバットを連発し再び突き上げるようなドロップキックで完全にグロッギーにさせる。フィニッシュはカネックがロープ最上段から強烈なダイビング・ヘッドドロップを決めて9分48秒 カウント3。2本目ようやくチャボにもエンジンが掛かる。ロープ最上段からカネックに前方回転のサマーソルトキック、ローリング・ヘッドシザース・ホイップで四方八方から飛び込んでくるカネックとソリタリオの二人をぽんぽんと一人でちぎっては投げちぎっては投げの大独壇場となったのである。館内からは「チャボコール」が響き渡る。ジャンピング・ヒップアタックからサンセット・フリップという流れるような殺人フルコースでカネックにとどめを刺し、6分20秒体固めで1−1のタイに漕ぎつけた。いよいよ決勝の3本目。藤波とチャボがそれぞれカネック、ソリタリオのマスクをはがしにかかる。さらにメキシココンビの両足をとってダブル・レッグスプレットがきまる。試合はそのまま場外へ藤波がソリタリオの前頭部と後頭部に一発ずつ強力なイスでアタックを見せソリタリオは場外でノックアウト。立てないソリタリオを無理やりリング内にひきづり込んだ藤波は鮮やかなジャパニーズ・レッグロール・クラッチホールドで3分1秒見事にフォール勝ちを収めた。この判定を不服とするカネックとソリタリオは再び藤波とチャボに襲いかかる。カネックは「次のチャンピオンはこの俺だ」とわめき散らす。それに怒った藤波は「このやろう、覆面を賭けろ、覆面を!」と叫ぶ。
夢のタッグ戦と銘打たれたこの一戦、タッグの経験と実績に一日の長があった藤波、チャボ組に凱歌が上がった訳だが、激しい空中戦と両者の因縁が入り乱れて、これぞメキシコ・マットで行われるトップクラスの超高度なタッグ・マッチそのものであったと痛感した。 (清水勉)・・・

 記事を読んでいるだけでわくわくしてくる試合だ。当時の新日本のブッキングで考えられる最高のジュニア・ヘビー級のタッグマッチであった。藤波とカネックはもちろん、チャボとソリタリオ、カネックの絡みは少なくとも日本マットではシングル、タッグで対戦経験がないだけに興味深い。もしこのHPに来ていただいている中で実際に試合をご覧になったという方がいらっしゃればぜひメールしてください。お願いします。

 2002年6月のオフ会でHARU一番さんがこの試合を観戦されていたことが分かりました。しかも写真も多数撮影されており、今回はその一部を掲載させていただきました。試合は我々の想像を裏切らぬ好勝負だったとのことです。