ファイル24 鉄の爪エリックを襲ったのは誰だ!?(昭和50年7月25日)

 

 オフ会や掲示板でよく話題にのぼる事件に「馬場ファンのエリック襲撃事件」がある。昭和50年7月日大講堂で行われたジャイアント馬場とフリッツ・フォン・エリックのテキサス・デスマッチで、場外で馬場に攻撃を加えていたエリックが突然流血したのである。当時の雑誌では、ファンが投げたボールペンが突き刺さったとある。当時の別冊ゴングから記事を要約してみよう「客席からきらっと光った物がエリックに投げつけられ、まるで手裏剣のように、エリックの右耳後ろに突き刺さった。」とある。ボールペンを手裏剣みたいに投げられるやつがいるのか?疑問に思った筆者はこの試合を収録したビデオを入手し、問題のシーンを確認してみた。するとそこには意外な映像が・・・。

 

   
試合開始早々場外にもつれる両者。   高千穂とクツワダの間にいつ男性に注目   右手に何かをにぎっている。

 

   
なんとその右手を振り上げた!   こちらが拡大写真   エリックの後頭部めがけて振り下ろす!

 

   
リアル凶器攻撃!   にぎっているのはボールペンか?   高千穂がようやく気付いて突き飛ばした。

 

 一瞬の出来事で一度見ただけでは気づかなかった。というのもゴングの記事にあるようにボールペンが飛んでくるはずだということに気をとられていたためである。ボールペンが飛んできたのではなく、少年が襲い掛かったという説も聞いていたのでファンの乱入があったかどうかに注目すると、白いシャツの男がふらふらとやってきてボールペンか何かを握った右手を思いっきり、振り下ろすシーンが写し出されていた。この間約5秒。これはよほど注意しなければ見逃してしまう。ゴングの記者もこの白いシャツの男の乱入を見逃し、想像力で記事をうめたのであろう。静止画ではわかりにくいが、結構思いっきり振り下ろしているので、あれはかなり深く突き刺さったに違いない。しかしエリックは悲鳴を上げることもなく「何だいまのは?」というかんじで、ちらっと後ろを振り返っただけであった。さすがレスラーというのは頑丈だ。しかししばらくするとエリックの後頭部から大流血。血は顔面まで伝って顔中血だらけになるのであった。乱入した男は高千穂が突き飛ばし追いかけていったが、たぶんひどい目に合わされたんじゃないだろうか?

 しかしこの事件、レスラーの頑丈さと、プロレス雑誌の記事の信憑性の低さを如実に知らせてくれるハプニングであったといえよう。