インディアン・ムッド・マッチ

2002.8.26 update
2007.2.18 re-update

 
試合開始早々にシークに背後から襲い掛かるシン   両者泥だらけ。これのままでは皮膚呼吸が・・・

 

 今回の「これが昭和のデスマッチだ!」は前回紹介したドンキー・ライド・デスマッチについで、デトロイトで行われた「プロレス史上最も醜悪な闘い」といわれたインディアン・ムッド・マッチの登場です。

 インディアン・ムッド・マッチ・・・これはリングに作った高さ15センチほどのプールにミシガン湖から取り寄せたと言う土、水、そしてモーターオイルを混ぜて作った泥を入れて闘うと言う奇妙なルールのデスマッチである。「ムッド」とはMUD・・・つまり泥のことである。当時のゴング誌の担当者はMUDをローマ字読みで「ムッド」と表記してしまったと言うお粗末。当時のプロレス記者は英語をローマ字読みで表記することが多かった。どうやら辞書を引く習慣がなかったらしい。しかし、ここでは昭和の雰囲気を残すためにあえて「ムッド・マッチ」表記で行きたいと思う。

 試合が行われたのは昭和50年8月16日にデトロイト・コボ・アリーナ。ルールは時間無制限1本勝負。決着はギブアップかKOでのみ決まると言うものであった。このルールで戦ったのはデトロイトの帝王ザ・シークと、デトロイトではベビー・フェイスとして戦っていたタイガー・ジェット・シン。両者は金網デスマッチでも戦ったが、完全決着をつけるためにシンが提案したのがこのデスマッチだった。シンは日本でも「インド・デスマッチ」と称し体に油を塗って戦う試合形式で猪木と戦ったことがあるが、本当にインドでこんな試合形式が存在したかどうかは不明である。試合はプールの設営の都合か、第1試合として行われた。この両者の試合は想像の通り、殴り合い蹴り合い、そして首の絞め合いという野獣の戦いのような展開。両者イスや凶器を持ち出しての大乱戦を繰り広げたが、若さに勝るシンが独特のボディスラム気味のブレンバスターでシークを泥の海にたたきつけ19分46秒にKO勝ちを収め、シークとの抗争に決着をつけたのであった。

 この試合形式はこのシン、シーク戦以外で行われたことはなかったようだ。それは泥まみれになると言う見てくれが余りにも醜悪なことに加え、皮膚呼吸ができないので危険だからだと言われているが、実際は泥の設営なんかが大変だったり、レスラーが嫌がったと言うのが実際の理由であろう。しかしながらこのインディアン・ムッド・マッチはナイトクラブの余興として女性が泥まみれで戦う「泥レス」として受け継がれたのであった。今の日本ならインディー団体が手を出しそうな試合形式である。

2007/2/18 付記

昭和プロレス掲示板にザ・ヒール様から、この試合の動画が「youtube」にアップされているとの情報をいただきました。

http://www.youtube.com/watch?v=UDBpRHftkR0

動画を見て見ると・・・なんと、シンではなく、シークが勝利を収めていました! 一部でそういった噂の聞きましたが・・・youtube恐るべしですね。

ザ・ヒール様、情報提供ありがとうございました!