昭和プロレス秘宝館

プロレス悪役物語「リングのゼロ戦 芳の里」

2005.3.7 update

 

  

久々の「昭和プロレス秘宝館」。昭和38年少年サンデーに連載されていた「プロレス悪役物語」の第3弾!今回はアメリカ修行当時の芳の里の登場だ!

 

 

 前回好評ををいただいた、「プロレス悪役物語」今回はようやく本物の悪役芳の里の登場。以下本文の要約。

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 怪力男クレーンは芳の里を目より高く差し上げた。ところが芳の里は不敵の笑い。セコンドの東郷とウインクを交わしているではないか。クレーンが投げつけたとたん、投げられた空間でひらめいた芳の里の右足がクレーンの顔面のど真ん中を一撃。さらに宙で一転きった芳の里。今度は両足激がクレーンのあごめがけ、グワワーン。クレーンは地響きうってぶっ倒れた。その鼻っぱしらへ芳の里のニードロップ。噴水のように吹き上がる血!!観衆は一緒に叫んだ「日本の戦闘機、悪魔のゼロ・ファイターだ!」芳の里のファイト振りがアメリカの観衆にゼロ戦の恐怖を蘇らせたのだ。芳の里はとび蹴り20連発で人間起重機をポンコツにしてしまった。

 控え室に引き上げると一緒に日本からやってきた馬場と鈴木が待っていた。
「先輩おめでとう」
「ありがとう、だが、お前たちとはお別れだ。おまえたちはニューヨークに残って、力さんの跡が継げるように修行を積め。俺の目的は馬場や鈴木とは違う。俺はアメリカに喧嘩を売りにきたんだ!」
こんなわけで、芳の里が殴りこんだのは、最も血なまぐさいテネシーとテキサス!この二つの州では反則も殺人寸前なら、ルールで許されている。芳の里は思う存分大暴れ。中でもすさまじかったのはホンブレ・モンタナとの対決。

「これぞB29とゼロ戦の大決戦だ!」観衆は大喜び。いきなり芳の里はモンタナの肩に馬乗り。肩車の体制から殺人パンチの雨あられ。血だるまのモンタナ。ゼロ戦得意の食いつき戦法。モンタナが仰向けにぶっ倒れた。まいったのではない。さすがはB29だ。芳の里を押しつぶす地獄作戦だ。芳の里は間一髪、ゼロ戦のようにひらりと飛び降りていた。
「でかぶつ野郎、くたばれ!」
芳の里はバケツをモンタナの頭にかぶせてしまった。
「アワワワ・・・」にわか***で、ウロウロする人間山脈めがけ、とび蹴り連発!
「ゼロ戦の20ミリ機銃のような必殺攻撃・・・すごい!」
ズズーン!ぶっ倒れた超巨体にゼロ戦芳の里の攻撃はさらに物凄かった。
リングのしたから金属製のゴングを掴みあげるや、バケツの上からもろにぶちかました。遂にモンタナも伸びてしまった。医務室で意識を快復したモンタナは1週間も自分の名前を思い出せなかった。

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 なんとまぁ、芳の里のすさまじい活躍ぶり。ポイントとしては「ゼロ戦とB29の闘い」という比喩を使っているあたりに、時代を感じさせる。もうひとつのポイントは「テキサスとテネシーでは反則も殺人寸前なら、ルールで許されている。」というくだり。実際にこの両州はファンも荒く、試合もそれに呼応してラフファイターが集まっていたが、「殺人寸前」は言いすぎだろう。このあたりの設定は後の「ジャイアント台風」にも引き継がれていく事になる。しかしドロップキックの20連発・・・マスカラスより芳の里のほうが早かったとは・・・。

資料提供:ルター電子レンジさま