昭和プロレス秘宝館

プロレス悪役物語「恐怖の殺人機械 エド・カーペンター」

2004.1.16 update

 

  

久々の「昭和プロレス秘宝館」。今回は昭和38年少年サンデーに連載されていた「プロレス悪役物語」の登場です!エド・カーペンター(エドワード・カーペンティア)までが悪党扱い!?さぁ、読みたまえ(笑)。

 

 

 

 

 前回好評ををいただいた、「プロレス悪役物語」今回はアントニオ・ロッカ以上に悪役のイメージはないエドワード・カーペンティアの登場。以下本文の要約。

 物語はカーペンティアがフランスからモントリオール空港に降り立つシーンからはじまる。カナダにカーペンティアがやってきたと聞いたカナダのレスラーは一人を除いて逃げ出してしまった。例外の一人というのはキラー・コワルスキーであった。モントリオールスタジアムで2万人の観客を集めて両者は遂に対戦。ゴングが鳴る前にコワルスキーが襲い掛かり、やりたい放題。しかしゴングが鳴るや否やまるで別人のようにカーペンティアは猛攻を開始。ダウンしたコワルスキーの顔面に今日足で飛び乗るフェイス・スマッシュ(顔面つぶし)!

「人間なら・・・、そうだ感情のある人間なら、ついカッとなって、ゴングまえでも、乱闘に、つりこまれてしまう。戦うために作られた機械なら、ゴングがならないかぎり、絶対に動き出さない。まさに殺人機械!」

 カーペンティアは血だるまのコワルスキーの顔面に反則パンチ。レフェリーがカウントを取ると、反則負けになる前にぴたりとやめる。うつぶせにダウンしたコワルスキーの両足にカーペンティアの両足が絡んだ。これが全米プロレス界が震えたジャイアント・バック(巨人折り)であった。コワルスキーは白目を剥いて気絶・・・。

 この「巨人折り」を引っさげてロスに乗り込んだカーペンティアは、渡米中のジャイアント馬場と対決。馬場の巨体をおもちゃあつかいにして楽勝したが、この試合では「巨人折り」を使っていない。これについて力道山はこういって闘志を燃やしている。「あきらかにわしとの対戦に備え、秘密作戦を取ったのだ。世界王座(WWA)をかならず奪い取る決心だが、最大のライバルは、カーペンダーだ!」

 以上が本文の要約。呼んでいただいてお分かりのように、この作品は力道山現役中のもので、馬場が「おもちゃあつかいされた」という記事を書いても、まだ問題にならなかった時代である。口絵の画像をご覧いただければ分かるように、カーペンティアは「力道山の最大のライバル」として、紹介されている。結局両者は対戦することはなかったが・・・もしこの当時にカーペンティアが実際に来日していたら、ファンは悪役物語の内容とカーペンティアのファイトの内容のギャップに悩んだに違いない。

 「巨人折り」として紹介されている技は月刊ゴングでは「X字固め」として紹介されている(上写真)。この作品で作者の梶原一騎氏がカーペンティアの代名詞である、サマーソルト・キックをはじめとする空中殺法に触れていないことを考えると、「巨人折り」の写真1枚から想像をめぐらせて、この作品を書いたのではないか?ということが想像される。やはり梶原一騎の妄想力は凄い!

資料提供:ルター電子レンジさま