昭和プロレス秘宝館

プロレス悪役物語「空中の悪魔アントニオ・ロッカ」

2004.1.16 update

 

  

久々の「昭和プロレス秘宝館」。今回は昭和38年少年サンデーに連載されていた「プロレス悪役物語」の登場です!アントニオ・ロッカはなぜ悪党なのか!?

 

 

 

 多くのオールドファンの「トラウマ」となっているプロレス悪役物語。今回、遂にアントニオ・ロッカの巻を入手しました。梶原一騎先生の書いた物語も凄いが、石原豪人先生の挿絵も凄い!これはトラウマにならないほうがおかしいですな! 昭和38年といえばまだ力道山が存命中。いまだにオールド・ファンの心にこびりついてはなれない、プロレス悪役物語の内容とは?ダイジェストで再現しよう。

殺された柔道家

「ボクがアメリカで対戦したレスラーの中で、本当に恐ろしいと思ったのは、空中戦ロッカと呼ばれる、あの悪魔だ!」日本のホープ馬場が、これほど闘志を燃やす悪魔ロッカとはどんな男・・・。

1951年、南米カラカスの野外競技場には、2万人の大観衆が詰め掛けていた。まず、リングに登場したのは、日系2世の谷圭吾という柔道家だ。講道館で修行し、5段の腕前だ。とつじょ、2万人の観衆が、上げた驚きの声。魔物のような身軽さ・・・最上段のロープのはるか上を、軽々と飛び越え、大空から舞い下ったように出現したのだ!!この怪人こそアントニオ・ロッカだった。

開始ゴングとともに、空中高く、躍り上がったロッカ。うなりとんだ、3発の連続蹴り!!あっというまに、谷五段の顔面は血にまみれた。一直線に、飛んでくるキックなら。身をかわすか捕まえて、叩きつけることもできるが・・・。怪人ロッカはまるで鳥か、飛行機のように、宙返りもやるし、カーブもきくのだ。つまり飛行人間だ!!ロッカが飛び降りた一瞬を狙い、とびこむ谷5段・・・か、すでにパッと、ロッカは、谷の肩の上にいて、肩車の体勢から、顔面をえぐる目玉をかきむしる。ドサーッと、遂に谷5段が血の海に、のめりこんだ時、不気味に笑いながら、あおむけに谷5段を肩に担いだロッカは、そのまま両足でマットを蹴り、ジャンプする。・・・なんでたまろう、地獄の背骨責めだ!これがもとで谷5段は、遂に死んでしまった。

・・・凄い内容だ。これは梶原氏の創作か?実話か?それを問うのは無粋というものだろう。このような読み物で妄想を膨らませた少年ファンは、それを事実と信じ疑わなかった。それが全てだ!それでいいのである。これが昭和のプロレスなのである。

資料提供:ルター電子レンジさま