昭和プロレス秘宝館

  

日本プロレス 昭和45年 ワールド・チャンピオン・シリーズ パンフ

2003.3.2update

 

  

今回は日本プロレスの昭和45年「ワールド・チャンピオン・シリーズ」のパンフを紹介します。

 表紙はファンク兄弟がNWA世界選手権ベルトを手にファイティングポーズをとっている写真が使われているが、これがなかなかカッコいい。国際プロレスのパンフとは違ってデザインも洗練されている。まずページをめくると日本プロレスリング・コミッショナーの川島正次郎のシリーズ開幕宣言、NWA会長のサム・マソニックの挨拶が掲載されている。NWAの権威をアピールする戦略は見事。こういうNWAタイトルへの形式的な権威付けがプロレス自体のステータスをアップする事につながっていた。

 さらには北直人氏による「豪勇ファンク一家物語」と言う読み物が掲載されている。ドリー・ファンクは「ダンク」の愛称で紹介されている。ダンクが生まれた日にワイルド・ビル・ロンソンがサンダー・ザボーから世界選手権を獲得。シニアの親友だったロンソンは「このベルトはおまえの息子へのプレゼントだ」をシニアに言ったそうだが、シニアはこのときに息子の運命は決まったと思った・・・というエピソードもあったようだ。当時のテリー・ファンクの肩書きは南部タッグ・チャンピオンとなっている。当時のパンフは身長はフィート、体重はポンドで紹介されているが、当時のファンはこれを理解できたのだろうか?このシリーズでジュニアは猪木の挑戦を受け、これを守り抜き、馬場のインター選手権に挑戦している。これはインター選手権の権威付けの作戦だ。

 

 

 

 続いてはビッグ・ムース・ショーラック、ブルート・ジム・バーナードがインタータッグ選手権挑戦チームとして紹介されているが、当時は両者ともに無冠だったのだろうか。こういう肩書きは珍しい。下段中央にはニック・コザックが紹介されている。紹介文では兄のジェリー・コザックが「弟」として紹介されているが、実際はどうだったのだろう?

 続いてはピエール・レ・グラン(ギル・ポイゾン)、ジャック・アームストロング、レジー・パークスが登場。パークスは未知の強豪をしてファンの注目を集めていたが、期待はずれに終わった。パンフでもどん尻で紹介されているところを見ると、ブッキングした日本プロレスでも期待はずれの予感はあったのかもしれない。ページの右端にはジュニアの世界選手権獲得のレポートが掲載されている。やはり当時は番狂わせといった印象が強かったようだ。ベルトを手に飛び上げって喜ぶジュニアは若々しい。

 

 

  

 続いては日本陣営の紹介。馬場、猪木、吉村、大木のビッグ4に坂口征二が食い込んできた。しかしこの坂口のポーズ写真は珍しい。当時は無冠で肩書きは「日本プロレス界の星」となっている。坂口はこの時期ロンドンに遠征していた。ちなみに他のレスラーの保持していたタイトルは、馬場がインターシングル、タッグの二冠王、猪木はインター、アジアのタッグ二冠王、大木はアジア・シングル、吉村はアジア・タッグをそれぞれ保持していた。

 続いてはインター・シングル、タッグ両選手権戦ハイライトをして過去の選手権試合の写真が掲載されている。左から力道山VSテーズ、馬場VSブラジル、馬場VSサンマルチノ、馬場VSシーク、馬場とブルーザーの調印式、ファンの声援に応えるBI、右上はフリッツ・フォン・ゲーリング、マイク・パドーシス組のベルト姿。下は猪木とレイ・スティーブンスの場外乱闘。下はBIがインタータッグを獲得したワット、タイラーとの試合風景、右下には馬場、吉村組のベルト姿の写真が掲載されている。日本プロレスのパンフはビジュアル的にも楽しめる。

  

 

  

 外人レスラーの次に登場は日本陣営の紹介。馬場、大木、吉村、猪木の順で紹介されている。これは映画の看板と同じで左端、右端・・・の順でトップから紹介すると言ういかにも日本的なレイアウトである。当時の猪木はタッグインターナショナル、オール・アジアの二冠王。さらに中堅レスラーとレフェリー、コーチの紹介。ミツ・ヒライにヤマハ・ブラザーズ、極道コンビといった役者揃い。当時の日本プロレスは本当に層が厚い。レフェリーはオキ・シキナ、ユスフ・トルコ、田中米太郎、ジョー樋口の4人、コーチは大坪清隆。そしてページ下段には新宿の小田急で行われた「日本プロレス大展覧会」の告知。アトラクションとして「基本訓練の実演、プロレス映画の映写」などがあったようだ。

  

 

 

 つづいては中堅レスラーの紹介。メンバーはミツ・ヒライ、星野勘太郎、山本小鉄、大熊元司、高千穂明久をいうそうそうたる面々。レフェリーは沖識名、ユスフ・トルコ、田中米太郎、ジョー樋口。コーチとして大坪清隆も紹介されている。続いては前座、若手の紹介。メンバーは長沢秀幸、林牛之助、永源遙、新海弘勝、安達勝治、戸口正徳、轡田友継、木戸修、百田光雄、ドナルド・タケシ。そしてメキシコ遠征中の駒厚秀、柴田勝久。下段には鈴木庄一氏による4選手権戦の攻防なる読み物。

 最後のページには「本日の組み合わせ」のゴム印が。当日(7月30日大阪府立体育会館)の組み合わせを原文のまま紹介しよう。

林牛之助 15分1本 安達勝治
戸口正徳 15分1本 高千穂明久
ミツ・ヒライ 20分1本 アームストロング
永源遙 20分1本 ブルート・バーナード
星野勘太郎 20分1本 ニック・コザッグ
坂口征二 30分1本 ピエール・レグラン
山本小鉄 30分1本 ムース・ショーラック
タッグマッチ
 アントニオ・猪木、大木金太郎 45分3本 テリー・ファンク、レッグ・パークス
選手権
ジャイアント・馬場 60分3本 ドリー・ファンク・ジュニア

当日のメインエベントは馬場とジュニアのインターナショナル選手権。ほかではバーナードVS永源などは一体どんな試合だったのか興味がある。

資料提供 DLじょな様