昭和プロレス秘宝館

  

国際プロレス 昭和43年ワールド・チャンピオン・シリーズ パンフ

2003.2.12update

 

  

 久々の「昭和プロレス秘宝館」。今回は国際プロレスの昭和43年「ワールド・チャンピオン・シリーズ」のパンフを紹介します。

 一般にこのシリーズは「第1回IWAワールド・シリーズ」と呼ばれていますが、正式名称は「ワールド・チャンピオン・シリーズ」だったようである。表紙にはIWA世界タイトルベルト(階級の表示はなし)のエンブレムと、参加選手の写真、選手の出身国国旗が掲載されている。主催はIWE(国際プロレス)、協賛は東京放送(TBSテレビ)。

 ページをめくると豊登の手形とサイン。私の手も大きい(王監督と同じ)ので思わず比べてみたが豊登のほうが大きかった。となりのページには当時参議院議員でアマレス協会の会長でもあった八田一郎氏の顔写真と挨拶文が掲載されている。これは当時の定番である。

 続いてはイギリス代表のビル・ロビンソンが登場。当時はEWA世界ヘビー級、欧州ヘビー級、大英帝国ヘビー級の三冠王であった。紹介文を見ても優勝候補の第一候補と紹介されているが、予想通りロビンソンがリーグ戦で優勝し、初代IWA世界王者の栄冠を獲得し4冠王となる。ロビンソンのとなりにはフランス代表のジルベール・ボワニーが登場。フランス・ヘビー級チャンピオンと紹介されている。腰に巻いているベルトがそうなのだろうか?ボワニーはこの後覆面を被り、ロームマスク、マスクド・グラジエーターを名乗って2度来日している。「フランスは花のパリーで生まれる」という紹介文がなんとも昭和チックだ。

 

 

 

 続いてはダイナマイト・シリーズから残留したオーストラリア代表のレイ・ハンターが紹介されている。ハンターもオーストラリアヘビー級チャンピオンと紹介されている。当時は英連邦タッグ選手権も保持していたとか。中央には南太平洋代表のピーター・メイビアが登場。当時はハワイで活躍。豊登との怪力対決に注目という主旨の解説がある。日本滞在中にロビンソンとストリートファイトを展開したのはこのシリーズだ。ちなみにメイビアも南太平洋地区ヘビー級チャンピオンの肩書きがある。中央下段はベネズエラ代表のレイ・ゴールデン・アポロン。アポロンは全南米ヘビー級チャンピオンだ。解説によれば全ヨーロッパ・チャンピオンと解説されているが真相はいかに?

 続くページではハンガリー代表のマイケル・ネイダーが登場。肩書きはもちろんハンガリーヘビー級チャンピオンだ。後にミッシェル・ナドールとして新日本プロレスにも登場している。ネイダーは彼の名前を英語風に発音したもの。中央にはカナダ代表のジョージ・ゴーディエンコが紹介されているが写真が古い。もちろんゴーディエンコもカナダヘビー級チャンピオン。リーグ戦では決勝まで進むが優勝には一歩とどかず。続いてはジョン・ダ・シルバー。ニュージーランド代表でニュージーランドヘビー級チャンピオンと紹介されているがこれは本当。日本ではこれといった成績を残していないが隠れた実力者に一人である。

 

 

  

 続いては香港遠征の報告。「高橋和夫団長を筆頭に、通訳・遠藤哲、レフリー木村政雄(注:後のラッシャー)、選手サンダー杉山、グレート草津、田中忠治、マンモス鈴木、外人選手、Iキャンベル、Wアンガス、Pクマリの一行10名は9月12日香港遠征に出発した。また現地でジム・ハジーが合流した。試合は13日より18日迄行われ連日超満員の大人気で、初の海外遠征に大成功を収めた」とある。その下には小林省三(後のストロング)の英国遠征出発を報じられている。

 日本陣営のトップは豊登、続いてはサンダー杉山が紹介されている。この二人は当時TWWA世界タッグ選手権を保持していた。ベルト姿の写真が掲載されているが体つきはそっくり。3番手にはグレートブリテン西部、南部チャンピオンだったグレート草津が紹介されている。思えば草津は常に三番手であった。続いて木村政雄、田中忠治、レフェリーから現役に復帰していたマンモス鈴木、そしてレフリーの阿部修が紹介されている。阿部はこのシリーズから審判部長に就任したとあるが、当時レフェリーは阿部しかいなかった。

  

 

  

 そして最後のページでは若手が紹介されている。鉄之助、勇、円蔵、東助、小助、東八など、いかにも豊登の命名というリングネームのオンパレード。当時東助を名乗った藤井(後のヤス・フジイ)は、この後も数回リングネームを変えられている。ここでは掲載しなかったが最後のページには国際プロレス後援会会員募集のお知らせが載っている。会長は八田一朗氏。募集要項を見ると、入会金500円、年会費1200円とあるが、この値段は当時としては高価だったのではないだろうか?会員特典には・・・

新規会員には会員証及び好きな選手のサイン入りプロマイドを御進呈
シリーズ毎のパンフレット及び国際プロレス情報も御進呈
年2回、国際プロレス興行の特別優待割引券を御進呈
その他ご来場の節、色々と特典がございます

とある。パンフを毎シリーズもらえるというのは結構魅力だったに違いない。そして裏表紙には「人参蜜」なるスタミナ食品の広告が掲載されているが、モデルはまだまだ新人の小林省三。以下に彼が期待されていたかの表れである。

資料提供:福岡のN様