UWA世界ミドル級
 プロレス・ファンならだれでも「本物のチャンピオン・ベルトが欲しい」と思ったことはあるだろう。昨年(2018年)、IWA世界タッグ(マイティ井上&アニマル浜口が巻いたマルコビッチ・タイプ)の本物ベルトが、メルカリでたったの70,000円で出品されていたことを後で知り、悔しい思いをした。精巧なレプリカは20万円ほどするのに、歴史あるIWA世界タッグのベルトがその半額以下で手に入っていたかと思うと、まんじりともせぬ思いをしたのであった。
 そして2019年の正月、以前、120万円ほどでヤフオクに出品されていたUWA世界ミドル級のベルトが1円スタートで出品されているのを発見したのである。「これは千載一遇のチャンス。清水の舞台から飛び降りてでもゲットする!」と決心した筆者は、粘りに粘って遂に落札。夢にまで見た本物のチャンピオン・ベルトを入手するに至ったのである!
 このベルトは、「ワールド・プロレスリング」で放送されたセンチュリオン・ネグロからグラン浜田が奪取したものと同タイプのベルトである。また、出品者の解説には下記のように書かれていた。

イグナシオ・キンタナ製 第2代・第7代・第10代王者グラン浜田が所有していた本物。元々の所有者である新間寿恒氏ユニバーサル・プロレスリング代表が選手本人から譲り受けた物です(本人確認済み)

では、ベルトの各パーツを紹介していこう!
 中央のメインプレートは金属製で、縁取りは細いチェーンを使用している。各パーツは台座に接着されているようさ。文字が数か所はがれてしまっている。

 メインプレート中央のレスラーが組み合っている図柄は手書きっぽい感じがする。

 左のサイドプレートはベネズエラと日本。JAPONと書かれていたはずの日本のプレートは剥がれ落ちてしまっている。

 右のサイドプレートはパナマとアメリカ。各国のエンブレムだがアメリカのものは金属のプレートに手書きしたものを接着している様である。他の国のエンブレムは金属に浮き彫りが施されたような感じ。

 ベルトは深紅のベルベット製で、バックルで締めるタイプ。ミドル級のウエイト・リミットは87キロで、一階級上のジュニア・ライト・ヘビー級の筆者は腰に負けなかった!(笑)

 中央のプレートと中央プレート下のチャンピオンの名前を表示するプレートはベルトの裏側にリベットが確認できる。サイドプレートのリベットは確認できず。
 
 このベルトにつき、ルチャリブレ研究の権威、ドクトル・ルチャこと清水勉氏に確認をいただいたところ、下記のようなコメントをいただきましたので、紹介しておきます。

清水氏のコメント

 1976年キンタナ製で、同タイプで現存が確認できる最古のベルトです。前王者と次の王者のレネ・グアハルドは紺地のベルトをしていたので、この赤ベルトはグラン浜田の一代ベルトです。1982年2月にセントゥリオン・ネグロから奪った時にもう1度使ったかも?(要確認)。同4月蔵前のアグアヨ戦ではなぜか日本製のベルトになってしまいました。この赤ベルトを本人が手離したときには下にGRAN HAMADAの一部文字が残っていたような気がします。

 また、ボクシングみたいにUWAでは、チャンピオンがベルトを1本ずつ持ってました。1982年2月の「ワールド・プロレスリング」で巻いていたベルトはセントゥリオン・ネグロのベルトで、今回落札のベルトではないように思います。この日から蔵前まで防衛戦はしてないから、返しているはずです。6月にモンテレイでセントゥリオンに奪回されていますが、その間の防衛戦はしてません。

グラン浜田は山本小鉄と喧嘩して新日本からメキシコに渡り、このタイトルは「背水の陣」で手にした勲章で、小さな英雄の原点です!

以下、防衛記録
1976年
5.2 vsレネ・グアハルド(モンテレ イ)奪取
6.9 vsアニバル(パラシオ)@
6.20 vsエル・ビキンゴ(シウダフアレス)A
7.5 vsセサール・バレンティーノ(ヌエボラレド)B
8.2 vsレネ・グアハルド(ヌエボラレド)C
8.8 vsベビー・フェース(モンテレイ)D
9.19 vsカルロス・モンテロサ(シウダフアレス)E
10.31 vsレネ・グアハルド(モンテレイ)転落

(コメント以上)

 というわけで、このベルトは1976年にグラン浜田が1976年にレネ・クアハルドから奪取し約半年保持した時に作製、使用された本物のベルトだったということで、ドクトル・ルチャのお墨付きをいただきました。

 こちらのベルトは「昭和プロレス復活祭」などでお披露目させていただきますので、どうぞお楽しみに!